篠原愛:少女たちへ |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2009年 9月 30日 |
篠原さんは1984年鹿児島県生まれ、2007年多摩美術大学卒業、GEISAI出品後の最初の個展で注目を浴び、一躍知られるところとなり、多くの方々の期待を背に走り続けて来ました。しかし疲労骨折を起こしかねない状況に、この1年間じっくり休養すると同時に、改めて生き方を見直して制作に向かい、私たちのギャラリーでの出発となりました。 描かれる画面は一見花鳥画を思わせますが、描かれる女性は、背景に描かれる動植物群の美しさと対照的に表情が抑えられ、解釈の多様性を許し、透けて描かれる臓器は存在の悲痛さを表すようです。しかし臓器からつながる花々は美しく成長し、命をはぐくむ母性と希望を見ることもできます。 最近、中学生や高校生にデッサンの基礎を教える機会があるそうですが、そのことが楽しくて、教員だった母の血を確かに受け継いでいると感じるそうです。さまざまな個人的体験から、命のつながりを実感として感じる感性が、作品を通しても描かれているのかも知れません。 今展では油彩約7点と数点のドローイングと、作品点数は多くありませんが、新作を中心に両国のスペースでゆったり展示いたします。 日常生活の中で、ふっと降りてくる、妄想。 [ 略年譜] 全文提供: ギャラリーモモ |
最終更新 2009年 11月 21日 |
篠原愛の作品は万人受けする写実的描画によりグロテスクな人物造形を絵画空間に展開している。だが、篠原はグロテスクな身体の変容を明るく晴朗な空間に描出するのである。つまり、少女たちが描かれる乳白色系の下地が以前から一貫していてすばらしい。おそらくこの背景があってこそ、魚の鱗や少女のはらわたから飛び出る臓器やワニやぬいぐるみ、腕から生える蔦のような植物が際立つのだろう。 しかし、このように言葉で書いてしまうと、ただただ残酷さを喚起させてしまい、絵画と言葉の距離を考えさせてしまう。