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岸幸太:ガラクタと写真
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2013年 12月 06日

(C)KISHI Kota

岸幸太は2005年から東京の山谷、横浜の寿町、大阪の釜ヶ崎を繰り返し撮影し制作をしてきました。「人への興味は、その人の持つ傷、見た目から始まる」と岸が語るように、人が持つ、見ることを躊躇してしまう傷や、無視してしまう生を見続ける姿勢はこれまで一貫しています。2011年には、『The books with smells』として、撮った写真を新聞紙に刷り出す公開制作を行い、2012年には、『Barracks』として、撮影地で配られるビラや文庫本のページ、紙ヤスリなどに撮った写真をプリントし、拾い集めた廃材、トタン板やプラスチック容器、床材などに貼り付けて発表しました。ストレートに印画紙に引き伸ばして展示するだけでなく、物質性の際立つ材料を組み合わせるなど、表現の手法に広がりが見られます。使用する材料となる新聞紙や廃材、ビラなどは慎重にひとつひとつ選びとられ、同じ街を常に意識する作者の意思を感じる物ばかりです。そして同じ街を繰り返し撮影するとともに、物と物とを切っては貼って組み立てるように制作することをも自らの方法論としていくかのようです。
本展は2つの会場を使用し、KULA PHOTO GALLERYでは新作を含む『Barracks』として発表された作品の画像を藁半紙に刷り出したものが展示されます。photographers’ galleryではアーティストブック『ガラクタと写真』の公開制作を行います。切っては綴じて出来上がっていく、あるリズムを感じさせるような作家本人によるブック制作を連日ご覧いただけます。
上質紙に比べ白色度の劣る粗末な藁半紙に刷り出されたイメージは淡く軽やかに見え、画像の中の廃材やプリントされたモノクロームの長靴や布団、バナナの皮さえも不思議な輝きを放っています。ぜひ、ご高覧下さい。

[作家プロフィール]
▼岸幸太 KISHI Kota
1978年 千葉県生まれ
2003年 専門学校東京ビジュアルアーツ写真学科卒業

個展
2004年 「welcome」 (photographers’ gallery・東京)
2006年 「傷、見た目」 (photographers’ gallery・東京)
「傷、見た目」 (photographers’ gallery・東京)
「傷、見た目」 (photographers’ gallery・東京)
2007年 「傷、見た目」 (photographers’ gallery・東京)
「傷、見た目」 (photographers’ gallery・東京)
「傷、見た目」 (Asia Photographer’s Gallery・福岡)
2008年 「傷、見た目」 (photographers’ gallery・東京)
2009年 「傷、見た目」 (photographers’ gallery・東京)
2011年 「もの、しみる」 (KULA PHOTO GALLERY・東京)
「The books with smells」 (KULA PHOTO GALLERY・東京)  
2012年 「釜ヶ崎—ひなた、彼方」 (photographers’ gallery/KULA PHOTO GALLERY・東京)
「Barracks」 (photographers’ gallery/KULA PHOTO GALLERY・東京)
2013年 「Things in there」 (photographers’ gallery/KULA PHOTO GALLERY・東京)

グループ展
2004年 「火の国展−photographers’ gallery exhibition」(熊本県立美術館分館展示室3・熊本)
2005年 「借りた場所、借りた時間 photographers’ gallery 横浜展」(BankART studio NYK・神奈川)

出版物
2004年 photographers’ gallery File05 『welcome』


全文提供:photographers' gallery
会期:2014年1月20日(月)~2014年2月2日(日)
時間:12:00-20:00
休日:冬期休廊 2013年12月21日(土)ー2014年1月19日(土)
会場:photographers' gallery
最終更新 2014年 1月 20日
 

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