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川渕陽介:Scene
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2010年 5月 11日

画像提供:Port Gallery T|Copyright © Yosuke KAWABUCHI

作家コメント
死体を見た。
その礫死体は、ぼくと、その列車に乗った数百人の時間を四十分ほど奪い、昼食の機会を奪われたぼくを苛立たせた。
ぼくは、涙を流さなかった。だが、ぼくと、彼(あるいは、彼女)は人間だった。

その夜、とあるミュージシャンに会った。彼は高円寺に職場があって、先日火事のあった居酒屋の近くなのだと言った。居酒屋のあった場所には、日ごとに花が積まれていったのだという。他にも缶ビールや、カップ酒が供えられ、線香がわりなのだろうか、火のついたタバコがいくつもあったそうだ。
彼は言った。目に見えないものは、確かにあるのだ、と。

彼らは確かに生きていた。
ぼくは、生きている。
—2009年11月26日の日記より
川渕陽介

川渕陽介(KAWABUCHI Yosuke、かわぶちようすけ)
1981年 奈良県生まれ
2008年 写真を撮り始める
2009年 神戸芸術工科大学にて研究生として宮本隆司氏に師事

※全文提供: Port Gallery T


会期: 2010年5月10日-2010年5月15日

最終更新 2010年 5月 10日
 

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