西光祐輔:I forgot but I can see. I remember but I can't see. |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 8月 13日 |
新スペースオープニングの展覧会。 写真とはいつも不思議だなと思うのですが、目に入るとピピッと一瞬でその写真が好きか否か体が反応する、そのスピードが他の何よりもなぜか速い。カメラを向けてシャッターを押すだけなのに、同じ風景が撮影されていても人が違うとどうしてこうも印象が違うんだろう。そして西光祐輔の写真がもちろん好きだから展示をするのですが、その理由を『なんかピピッとくるので』と言っても仕方がない。でもズルいけれどまず最初にそれが本音と書いておきます。 人生は喜劇、とは1年ほど前の西光の口癖ですがそれを言ったチャップリンがこの言葉に込めたように、人生の瞬間瞬間には悲劇があり、西光の写真の中にも大小を問わず悲劇や不快な瞬間を捉えたものがあります。人生の中に酸いも甘いも有る事は当然のことですが展示においても同じ様子で、雨粒がフラッシュの光を受けて発光している美しい写真もあれば目を背けたくなるような街のゴミの写真もあり、様々な状況で切り抜かれた風景がそこには展開されます。写真はまるで西光の思考地図のように上下左右に張り巡らされ、西光のものの見方がこれ以上ないくらい有り体に語られています。西光にとっては写っているものの美醜などもはや等価であり、ただ強度に反応して写真を選んでいることがそこから伺えます。それは撮影者が自分であろうとあるまいと関係がありません。そうして作られた展示からは西光が受け入れてきた世界が自然とそこに浮かび上がります。 本展は京都のLABORATORYとSocial Kitchenの2つの場所にて6月から7月にかけて開催された展覧会の巡回展となります。また、大阪adandaでの会期終了ののち福岡・博多のオルタナティブスペースart space tetraに巡回する事が決まっております。ただ巡回展ではありますが会場によって展示が大きく変わることは間違いありません。とにかく好奇心を強く呼び覚ます、そんな展覧会になると確信しております。みなさまお誘いあわせの上、是非ご来場ご高覧ください。 西光 祐輔 NISHIMITSU Y usuke 個展 グループ展 全文提供: adanda 会期: 2011年8月13日(土)-2011年9月19日(土) |
最終更新 2011年 8月 13日 |