早崎雅巳 Experiment exhibition:Green Salamander |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2009年 10月 02日 |
サンショウウオは英語ではサラマンダー・火の精とよばれ砲火の下をくぐりぬける勇敢な軍人に喩えられるらしい。私が描く男性器を思わせるようにアレンジしたサンショウウオは英語圏で言われるほど力強いものではなく、大人しく傍観し様子を伺う存在です。私の描く緑の植物は、クズ・ハゼ・アカメガシワ・ネムノキ等であり、いずれも日本に広く自然に自生し、したたかに生息域を拡大する植物たちです。特に好んで描くクズは”ほふく”するが如く目の前に現れる障害物に四方から覆い尽くし、相手の成長や自由を阻害させる。それらの生物たちは、私が描くジェンダーを曖昧にしたキャラクターの肢体に絡まりつき、さらに衣服のように変容した木の幹が四肢にまとう。これらキャラクターは、共存・同化し性を超えた生への執着のメタファーである。(早崎雅巳) 今展はアーティスト早崎雅巳のExperiment exhibition実験展であります。人が社会によって様々に背負わされた属性。他の属性からの視線によって形作られた主体なき自らの姿。彼の描くサンショウウオと逞しい生命力を誇示する植物、ジェンダーの曖昧なキャラクターたちが一つと成り不可思議な生き物へと変容していく光景は、現代社会に生きる我々全てに背負わされた様々な属性を取り払い、何物にも縛られない一個の生き物へと昇華する在り様を提示しているかのようです。閉塞していく社会の中でその極度に緊張した我々の感受性を溶解させるべく早崎雅巳の挑戦はここから始まります。 【作家プロフィール】 全文提供: BAMI gallery |
最終更新 2009年 9月 18日 |