横野健一:Dancing Eyeballs |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2013年 6月 27日 |
私どもunseal contemporaryでは、7月5日から横野健一展「Dancing Eyeballs」を開催いたします。 本展は、2010年の「Squirm」以来、横野健一の2年ぶりの弊廊での個展となります。 ときどき、普段の付き合いでは分からないもう一人の人格が作家の中にいることに驚くことがあります。もう一人の人格は、まわりと自分から距離をとりながら、世界で起こっていることをどう表現にまで持ち込むか、冷酷に観察し、計算しているかのようです。 今回の個展は「Dancing Eyeballs(踊る目玉)」と題され、ステーツメントでは「目玉は人そのものであり、あらゆる方向を向きながらも、ある一点に向かって進んでいるのではないか。まるで踊るように」と書かれていますが、このモティーフの背景には3.11があります。 言うまでもなく、3.11は巨大なインパクトを、その結果として大きな混乱を日本の社会に与え、今もまだその余震は続いています。横野はそのインパクトと混乱に意識的に距離を取りながら、逃走するにせよ、立ち向かうにせよ、引きこもるにせよ、人々がそれぞれどうそれに向き合おうとしているかを、直接的にではなく、象徴的に描こうとしています。それが「互いに別の方角を見て、バラバラでありながら、それでも互いに連結している目玉たち」なのです。作家はそんな人びとのあり方を肯定も否定もせず、人間社会の運命的なあり方として描くことが作家の役割だと思い定めているようです。 他方、作品の形式に目を転じると、モティーフ(たとえば目玉やスカル)はおしなべて日本的な紋様を背景にしていることが目立ちます。 横野の作品には、初期からアメリカンポップと平行して日本的な紋様は現れていましたが、近作では次第にその比重が増しています。本展の作品もその流れの中にあり、モティーフとこれらの紋様は互いに他を強化しながら調和し、作品のたたずまいは一種凄みさえ感じるレベルに到達しつつあります。これは右顧左眄することなく、作家が自分の立っている生活と文化の地点を深く掘り下げて行かない限り、実現できないことです。 本展は横野健一のより深化した、私たちの魂に触れる新作をご覧いただける展覧会になると思います。どうかご期待ください。 [作家コメント] [作家プロフィール] オープニングパーティ 初日18:00~20:00 全文提供:unseal contemporary 会期:2013年7月5日(金)~2013年8月9日(金) |
最終更新 2013年 7月 05日 |