サディ・スターン:Panmnesia : the afterbirth |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 5月 22日 |
サディ・スターン(Sadie Rebecca Starnes)は1985年にアメリカノースカロライナ州で大家族のもとに生まれ、広大な田園風景の中で幼少期を過ごしました。美術学校で学位を取得し、ニューヨーク、東京と大都市へ移り住む中でも、牧草、ラバ、山の灰といったモチーフを作品の中に登場させています。 現代になりテクノロジーによる万能感や、迷信的な情報を介在して、私達は心の拠り所を宗教ではなく、自己の内へ求めるようになりました。そうして作り上げられた「個」としての自己の他に、スターンは受け継がれる「集」としての自己の存在へ目を向けます。 山々に閉ざされたノースカロライナでは、未だにその土地特有の言語や神話、罪の意識、そして家族の歴史が色濃く残っているといいます。スターンが描く人物は家族、ノースカロライナの男性、そして幼少期の自分自身です。祖先から受け継がれた魂は時を超えて風景や体内に存在し、失われる事がありません。あたかも胎盤のように自分を包んでいた故郷からAfterbirth(後産)のようにはがれ落ちる記憶の連なりが現在のスターン自身へ繋がっています。 スターンの作品は素朴で、何かの内をのぞきこむような薄暗く秘密めいた気配を醸し出します。そして描かれた人や動物に絡まる皮膜や、有機的な物体が日常的な情景に生々しい生命を喚起させます。 今展では彼女の幼少期を描いた作品を中心に、新たに手がけたマスクの人物など約10点を発表いたします。日本で初となる、サディ・スターンの個展をどうぞご期待下さい。 ※全文提供: メグミオギタギャラリー 会期: 2011年7月12日(火)-2011年8月6日(土) |
最終更新 2011年 7月 12日 |