麻生三郎 展 |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2011年 3月 20日 |
麻生三郎(1913-2000)は、時代と社会に向き合い、人がこの世に存在することの尊さを描き続けました。初め前衛的な絵画を描いていた麻生は、1938年にヨーロッパを旅して写実の重要性も再認識します。自由な表現が抑圧された戦時下の1943年に麻生は靉光(あいみつ)や松本竣介らと「新人画会」を結成し、いつ死が訪れるかわからない時間の中で、闇に灯るあかりのように妻や娘を描きました。戦後1950年代半ばの《赤い空》連作では、バラックのような街並みで重い空気に抗して立つ人々を象徴的に表し、1960年以降は人間存在の核心に迫る表現を切りひらきました。一見混沌とした画面に浮かび上がってくる人体は、周囲の空間に押しつぶされそうになりながらも存在を主張しています。 本格的な回顧展として約15年ぶりとなるこの展覧会では、初公開作品を含む油彩・素描・立体あわせて約130点により、麻生の今日的意義を探ります。没後10年を経た現在、閉塞した空気の中で圧迫や不安を感じている私たちの心に、麻生の作品はあらためて強く響き、励ましを与えてくれることでしょう。 出品点数 ※全文提供: 愛知県美術館 会期: 2011年4月29日(金・祝)-2011年6月12日(日) |
最終更新 2011年 4月 29日 |