福重明子:Goahti(ゴアティ) |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2011年 3月 01日 |
マイナス40℃にもなる想像のつかない寒さの中、日本では見ることができない風景に強くインスパイアされて作った作品群を見て頂きたく思います。雪の結晶が反射して、空気も道路もあらゆるものが輝いて見えたという体験、Mazeの民族であるサーミ人との交流から多くの作品が生まれました。絵は2層で成り立っており、ひとつは作家が育った日本の風景、もうひとつは北極地方で出会った自然です。それぞれシルクスクリーンとペンによって表現しております。 2010年の秋には、ノルウェーのサーミ博物館でその作品を展示し、そのうち3点が博物館にコレクションされました。作家が出会ったサーミ人は、展覧会タイトルにもなっている「Goahti(ゴアティ/テント)」に行き、リラックスしたり、考え事をしていました。 彼らがGoahtiで火を点し、ゆっくりとした時間の中で様々なことを語るように、展示したく思っております。どうぞご期待下さい。 福重 明子 Akiko Fukushige 個展 グループ展など Workshops ※全文提供: The Third Gallery Aya 会期: 2011年3月1日(火)-2011年3月19日(土) |
最終更新 2011年 3月 01日 |
福重明子の大阪初個展。2010年にノルウェー北極圏Mazeに3ヶ月間滞在し、その体験から生まれた作品が展示される。
マイナス40℃の厳しい寒さが続くノルウェー北極圏のMaze。その気候からMazeの民族であるサーミ人の独自の文化が営まれている。例えば、本展のタイトルになっている「Goahti(ゴアティ)」とは、雪原の中に立てるテントを意味する。この中で火を起こし、本を読んだり、考えごとをしたりするのだという。日本の東北地方に見られるかまくらに近いかもしれない。
本展では、シルクスクリーンとペンによって制作された作品が並ぶ。驚くのは、レイヤー上にシルクスクリーンの重ね方の多彩さである。白い紙に白の色彩がプリントされていたり、色の重なり具合から抽象的イメージと思っていたものが、具象的イメージだったり、線と線、色と色の重なりが、ゴアティに灯される火のように、鑑賞者にイメージがゆらゆらと浮かび上がってくる。
マイナス40℃の世界にインスパイアされて生まれた作品は、寒さより暖かさを伝えていた。