星田大輔+野呂あかね:近くて遠い場所 |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2011年 1月 23日 |
美大をでて間もない作家たちの作品をみるときに感じる疲弊感の原因の多くは言うまでもなくその奔放な自己言及性にある。それを個性と言い換えるのは勝手であるが、彼我の間に共有し難い溝を感じながらも個性と換言することは不誠実に過ぎないだろう。 この二人の作家が多くの同期のなかで特に私たちの気に掛かり、紹介しようと考えた原因とは、後から気づいたのだが、そういった意味での見飽きた個性とは対称的な、無名性という個性にあるのかもしれない。 星田の「愛は慣性上に宿る」は驚くべきことに他ならぬ言語表現の限界を古典マンガに象嵌したものであり、他の映像作品とともに表現への無常観が通底している。立体作品に取り組んできた野呂の多くの作品はワックスのオブジェによる。「うつろいを負うもの」の半透明の素材の中には、元来設置されるサイトと関係づいた収得物が封じ込められていた。 彼らの作品で鑑賞者が目の当たりにする物体や映像、それは薄い皮膜状のスクリーンのようなものであり、想念は更に向こう側に移ろうのである。若者に不似合いなほどに自己言及から距離を置こうとする彼らの作品はあくまで半透明である。しかし、事情を知っての上で言うのであるが、それが芸術の時代状況に対する無頓着ではなく、相応のフィールドワークの末もたらされたことに今後の可塑性を覚えるのである。 星田大輔 展覧会歴 野呂あかね 展覧会歴 ※全文提供: ASK? art space kimura 会期: 2011年1月24日(月)-2011年1月29日(木) |
最終更新 2011年 1月 24日 |