田中栄子:empty |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2010年 12月 06日 |
切り絵・絵画/リトグラフという3つのメディアを用い、あるイメージが位相していく中で、在不在や記憶の輪郭などの境界を表現する。 記憶や、いたはずの人の気配が薄れていく感覚がベースとなった作品群。 田中は、無人の風景や、時や場所が定かでない寂寞とした情景に出会うとき、それらを写真に撮ります。そこから余分な情報を排除し、絵画制作の<下絵制作>でもある作業:切り絵制作をします。切り絵は、既成の色紙のみによって制作。作品素材の写真が色面へ簡略化され、色も転換される際、現実の風景は大幅に情報を欠落させていきます。それは、不在の感覚や喪失という違和感を受け止めることと同質の作業かもしれません。田中は、それらの作業の後、画面を格段に拡げ、絵画制作へと進みます。今回の絵画作品の多くは、青を基調とするモノトーンです。ここでは、薄らぐ記憶が時として曖昧に拡大したり、色や形が詳細を失っていくことと同質といえるかもしれません。そして、リトグラフ制作では、再度切り絵に近づいたかに見えます。が、版画では、色面は色紙のように不透明に重なることはなく、色ごとに確かな境界を設けます。 田中にとって他に得難い情景は、3つのメディアによって位相を繰り返し、在不在の感覚や記憶の曖昧な輪郭を示します。京都市立芸術大学で版画専攻の後、版画・絵画において数々の発表や受賞。2009年博士号(美術)取得:京都市立芸術大学。 ※全文提供: MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w 会期: 2010年12月7日(火)-2010年12月25日(土) |
最終更新 2010年 12月 07日 |