工藤春香:補陀落 ふだらく |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2010年 9月 08日 |
工藤春香は、もともと日常の中に潜む非日常を開示することに関心がある作家です。初期の作品は、身体の中の「異界」を開くことに関心がありましたが、やがて「身体内部の自然」に関心が移り、2008年の個展では霊場である下北半島の恐山での体験をベースに、山岳信仰が持った異界的なビジョンを絵画化しています。 工藤にとって、自然は外部的なものではなく、自身の身体内部と外部を貫く暴力的で生きたエネルギー、力です。「脱神話化」され、都市化した現代ではその力を感じることは稀なことですが、ときに私たちを不意にとらえ、駆り立てる狂気や、一瞬のうちに文化と生活を破壊する自然災害などは、私たちが紛れもなく自然の力の支配下にあることを認めざるをえません。 その力をどう表現するかが工藤の課題になっています。 本展では、自然は山から海に移り、かって南方にあると信じられた観音浄土(補陀落)をめざす捨身行である「補陀落渡海」からヒントを得て、現世と異界の往還に思いをはせた作品群を展示します。私たちの身体内部の自然の声を呼び出す工藤作品にどうかご期待ください。 工藤春香 個展 グループ展 ※全文提供: unseal contemporary 会期: 2010年9月14日(火)-2010年10月2日(土) |
最終更新 2010年 9月 14日 |