渡邊耕一:Moving Plants |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2010年 8月 29日 |
私たちは植物のあいだに暮らしている。家の前の土手や団地の裏に、あらゆるところに植物は繁茂している。私の背丈がそれらの植物の背丈を遥かに越え、ただその前を通り過ぎるようになったのはいつのころだったか。 土手や団地の裏に生えている植物の名前を調べていくと、その多くが本来それがあった土地を遠く離れた地で生きていることがわかる。これらの植物がこの国の風景の中に存在しなかった時が確かにあり、この先ずっと私の周りにあると誰も保証できないということに気づくようになる。いつの間にか、植物は入れ替わるのだ。 草むらのあいだからはフランスの建物や人の営みが、あるいはメキシコの原野やあのピラミッド群が見えていたかもしれない。そう思い至ったとき、この草むらのあいだから見えるもの、かつて見たものが、実はとても貴重なものであるように思えた。多くの植物は人の活動によって海を渡る。そのような世界では、草むらと草むらのあいだから見える事物に必然的な関係はない。私はこれらの植物と同じ時間/同じ場所に偶然居合わせたのだった。 これは、草むらの植物と草むらのあいだから見えるもの、そして私自身が織り込まれた時間/場所を巡る博物誌である。 渡邊 耕一 ※全文提供: The Third Gallery Aya 会期: 2010年8月31日(火)-2010年9月18日(土) |
最終更新 2010年 8月 31日 |