木村真由美:反復の美学 |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2010年 7月 09日 |
木村真由美が表出させる画面には、4点から引っ張られた歪んだ4平面に同じ大きさの丸が,ある一定の間隔で連続して並ぶ。大きさや支持体としての四角い形、色彩は違っていても、この反復はここ数年間ずっと繰り返されている。その形体には無数の色が何層にも塗り重ねられ、塗り残された箇所から見える色彩の重なりは、不思議な抒情性や偶然性によるうつろいのような日本的なはかなささえも表出させる。一見、ミニマル的でありながら、装飾的とも説明的とも言えなくはないその画面は、日本人の持つ独特なわびさびにも似た単純でありながら、奥の深い説明し難い「味」とも言うべき感覚にとても近い感情を呼び覚ます。今回の個展にあたり、作家は以下のようなコメントを寄せている。 最近は、今まで日々の忙殺の中で置き去りにしてきてしまった事をもう一度拾い上げて、それをひとつひとつ味わうように制作ができるようになったと思います。それは、時間を過去から未来に向かって一直線に進む流れを想定するのではなく、それとは逆に、現在から過去に遡行しながら、そのつどの「分岐点」をチェックして、「どうしてこの出来事は起こらなかったのだろう?」というふうに考えてみる事と似ています。そうする事によって、ただ一本道で続いているのだけではなく、無数の選択の可能性のある未来が見えてくるではないかと思われるのです。 木村 真由美 KIMURA Mayumi [個展] [グループ展] ※全文提供: 画廊翠巒 会期: 2010年7月10日(土)-2010年7月18日(日) |
最終更新 2010年 7月 10日 |