小野さおり:sharer |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2009年 11月 16日 |
小野さおりさんは1981 年福島県生まれ。2006 年女子美術大学大学院卒業、シェル美術大賞展などに入選、女子美術大学非常勤講師を経て、現在神奈川県に在住、制作を続けています。 どの作品も具象的なイメージですが、網膜のピントをずらしたような作品は、改めて物を見ることの確かさや不確かさを私達に問い掛けてくるようです。しかし画面を凝視すると、余分なものは捨象され、見るべきものが抽象性を伴って立ち現れ、事物の普遍性に行き当たるような印象を持ちます。 不透明な時代の中で、本質的なもののありようを問うような作品、新作を中心に20 点前後の油彩作品を展示いたします。 特定の生き物が学習なしにある種の傾向を示す(動物の狩りや独特の繁殖方法など)という概念に興味を持っています。このことから、自分と向き合うことで浮上してくる普遍的な心の動きのようなものは時代とともに変化しつつも、ある共通の世界へと通じていて、そこで多くの人と共有しているのではないかと考えています。私はこのような考えを表現することで自分とそして共有者と対話したいと思っています。 略年譜 個展 全文提供: ギャラリーモモ |
最終更新 2009年 11月 28日 |
ぼんやりとした画面に小さく描かれる月《シンボル》(2009)。鏡に写るドアから洩れる光《ムコウガワへ》(2009)。手でウサギを形作る様を描く《カゲアソビ》(2009)。 それらはどれも「反射」や「反映」を描いている。つまり、描かれたもの自体は、画面外にある(月の場合は太陽光が月に反射して白銀色に見える)。 そもそも現実の光景やものを2次元の絵画空間に描写することは、ものの「反映」であり「影」なのかもしれない。だとすれば、小野の絵画は「影」を描くことで、画面外に実在する「光」を描くことなのかもしれない。いや、その光源は絵画そのものなのかもしれない。私は「影」を追って、なかなか捕まえられないままである。