特集展示 謄写印刷工房からー印刷と美術のはざまで |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2016年 3月 17日 |
当館は、版画をコレクションの柱のひとつとしている美術館です。謄写版についても、和歌山で生まれ、活動した版画家、清水武次郎を中心に、謄写版による版画作品や資料をこれまで「版画の『アナ』ガリ版がつなぐ孔版画の歴史」(2011年)、「謄写版の冒険 卓上印刷器からはじまったアート」(2013年)、「版画について考える」(2014年)で紹介してきました。 いずれの展覧会も、簡易な複写技術としての謄写版が、コピー機などの普及によって私たちの前から姿を消すとほぼ同時に、版画技法としても忘れられつつある流れをとどめ、作品や資料がより多くの人に大切にされ、次の世代に伝えられるよう、そして新たにこの魅力的な技法による表現が試みられることを願って企画しました。このたびは特集展示として「謄写印刷工房から――印刷と美術のはざまで」を開催します。 美術作品は、「美術」として特別に保証された場所からのみ生まれるのではなく、私たちの身辺からも常に生まれてきています。いまは、それが「美術」だと一般に認められていなくても、たとえば、制作された当時、美術とは認められていなかった謄写版工房の仕事に、尊ぶべき人間の仕事を感じられる感覚が私たちにあれば、いままさに生み出されているものを見定めることもできるでしょう。およそ80点の作品と資料を出品する今回の展示をきっかけに、このような刺激的な経験を共有できましたら幸いです。 ■担当学芸員による展示解説会 全文提供:和歌山県立近代美術館 会期:2016年3月29日(火) 〜 2016年5月29日(日) |
最終更新 2016年 3月 29日 |