大坂秩加:良くいえば健気 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 9月 30日 |
《兎に生まれても亀の皮をかぶる》2011年 | 水彩、アクリル、色鉛筆、白亜地、麻布、パネル | 900 x 3000mm | Copyright© Chika Osaka | 画像提供:ギャラリーモモ両国 大坂秩加は1984 年東京都生まれ、東京藝術大学では油画を専攻、その後大学院修士課程に進んで版画を学び、今年3 月修了しました。在学中の2009 年には、当ギャラリーでのグループ展「Hop Step Jump」にて見事なHop 役としてデビュー、その後のエマージング・ディレクターズ・アートフェア「ULTRA002」で一躍脚光を浴びました。同年の版画協会展に於いて立山賞を受賞し、翌年シロタ画廊での受賞記念展で多くの人に注目され、その年のシェル美術賞展では審 査員賞を受賞、その評価を揺るぎないものにしました。 大坂の作品は、浮世絵の技法を版画から水彩に至るまで援用、衣装や小物、さらに背景に至るまで日本的な様式と文様をリアルに描き、古風でありながら艶やかな半面、描かれる人物は作家と等身大、その内容とともに極めて現代的なテーマを内包しています。 制作にあたっては言葉をモチーフにし、言葉から想像される場所や人物からひとつの物語を紡ぎ、そのワンシーンを切り取って描きます。作品に添えられた言葉や物語は、見る人の解釈を限定させる危険性を持っていますが、大坂作品の特質はそこにこそあり、言葉が作品の補完のためにあるのではなく、創造のためにあることで、作品の一部と考えるべきかも知れません。 今般の震災は、大坂にとってもしばらく制作に向かえないほどの衝撃を与えました。しかしそんな過酷な状況を経てもなお淡々と日常を生き抜く人間の、その姿が懸命であればあるほど、どこか滑稽で間が抜けている健気な姿に、限りない愛情を抱き、自身もいつの間にか励まされてもいるようです。 今展では 、そうした水彩作品や版画など新作20 点ほどを展示する予定です。 変化していく日本や世界の状況。それでも個人単位の「日常」生活は淡々と続いています。 大坂秩加(おおさか ちか) 個展 グループ展 受賞歴 パブリックコレクション 全文提供: ギャラリーモモ両国 会期: 2011年11月12日(土)~2011年12月10日(土) |
最終更新 2011年 11月 12日 |