ビュランに捧ぐ… 渡辺千尋と門坂流 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2015年 12月 11日 |
世界最古の銅版画技法・エングレービングはその道具の名をとりビュラン彫りとも言われ、一般的には紙幣の印刷方法として知られています。 ツルツルの銅板上を自在に彫刻出来る繊細な技術・集中力はもちろんの事、まず切先を極く鋭利に砥がなければならない(渡辺氏曰く「地獄の…」)修行のような作業があり、この鉄の刃を砥げる者だけがビュラン作家になれると言えます。 〈作家が選ぶのではなく、ビュランが作家を選ぶ〉と言われる理由の一つです。 渡辺千尋と門坂流はまさに〈ビュランに選ばれた〉稀有なアーティスト。共に正規の銅版画教育は受けず緻密なペン画や油彩画を描きながら、導かれるようにビュランに出会い独学でマスター。稀有な才能を持つ者同士、同じ手法ながら作家としては資質が異なり、対立しながらも2人展開催や公開対談など交流を深めました。 渡辺は2009年、門坂は2014年、ともに60代半ばで、多くの友人・美術ファン・若い作家達に清冽な記憶と作品を残し永眠されました。 今展では20点程の作品とその全原版を展示、ビュランに選ばれた2人のアーティスト、その神髄に一人でも多くの方が触れられる企画になることを願っています。 全文提供:不忍画廊 会期:2016年1月12日(火) 〜 2016年2月13日(土) |
最終更新 2016年 1月 12日 |