展覧会
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執筆: カロンズネット編集3
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公開日: 2013年 10月 03日 |
本展覧会は、柏原にとって小山登美夫ギャラリーでの3回目の個展となります。2011年の小山登美夫ギャラリーでの初個展「〜真ん中へ」では、“ずれていく自分の中心を探り当てようとする”プロセスが“穴を掘る”という行為に換言され、洞窟のようなイメージが生まれました。その後、一時帰国していた日本で東日本大震災を経験した彼女は、作品のモチーフとしてきた自然に、異なる感覚を持ちはじめます。 ——「いつもの森の中に入って行ったら、守られているような感覚に陥って、自分がずっと守ろうとしてきたものに、実はずっと守られていたのかもしれない、というところから、自分の中に向かって行っていたはずのベクトルが、気付けば外に向かって行っている感覚がありました。」(柏原由佳、2013年) こうしてできた作品は、2012年の個展「トランジション」で発表されました。今回出展されるのは、2mを越すペインティング5点を含む新作約15点です。柏原は出展作について次のように語ります。
会いたい人がいます、でもその人に会えません。 その人に会えない代わりに、北海道に行く事にしました。その人の故郷です。 初めて訪れる北海道はどこかドイツと似ていて、初めてなのに、どこか懐かしい、懐かしいのに見た事がない、という感じで原生林の中を散歩していると、形の珍しい、見た事の無い北の大地の植物は、私を招き入れてくれてました。 そこから出来た作品が今回の、「Arrival」「Sky Lake」です。 (柏原由佳、2013年)
いくつかの意味合いがあるという展覧会タイトル「跡の後」は、痕跡を何度も繰り返す、というイメージから発想したといいます。遥か昔からの痕跡の蓄積としていま目の前に広がる景色や時代を、何度も思いおこし、描いては消すを繰り返しながら懸命に追いかけようとする作家の、静かな覚悟の表れでもあります。
[作家プロフィール] 柏原由佳は1980年、広島県生まれ。2006年に武蔵野美術大学造形学部日本画学科を卒業、2013年にドイツのライプツィヒ視覚芸術アカデミー修士課程を修了しました。2012年から13年まで、ポーラ美術振興財団在外研修員。現在もライプツィヒに滞在しています。 2008年バウハウス・デッサウ財団にて、Torsten Blumeキュレーションの個展「借景」展を開催。また2012年には「VOCA展2012-新しい平面の作家たち-」(上野の森美術館)に出品し、佳作賞と大原美術館賞を受賞しました。大原美術館に収蔵された受賞作は同館で今年開催された「Ohara Contemporary」にも出展されました。小山登美夫ギャラリーでは3回目の個展となります。
全文提供:小山登美夫ギャラリー
会期:2013年10月5日(土)~2013年10月26日(土) 時間:12:00 - 19:00 休日:日・月曜、祝日 会場:小山登美夫ギャラリー
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最終更新 2013年 10月 05日 |