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ローリー・シモンズ:The Love Doll: Days 9-35
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2013年 3月 25日

The Love Doll / Day 27/Day 1 (New in Box, Head), 2010
e.d. 5
Fuji Matte print
133.4 x 177.8 cm
©Laurie Simmons

本展では、新作の写真シリーズ『LOVE DOLLS』14点と、映像作品『Geisha Song』を展示いたします。2009年、小山登美夫ギャラリーでの初個展の際来日したシモンズは、共に東京へ来ていた次女とマンガを探して入った秋葉原の書店で、女子高生の制服を着たラブドールの小さなポスターを見つけました。「日本への旅の前に、私の作品を変え、前に進ませてくれるような何かを見つけられるような予感が強くしていました」(Laurie Simmons, The Love Doll, p.10)というシモンズにとって、それはまさに新しい小道具(prop)でした。彼女はさっそくショールームを訪れ、2体のラブドールを購入することになりました。

等身大の人形を扱うことは彼女の初の試みであり、シモンズは日本から届いたラブドールをマンハッタンに構えるスタジオではなく、コネティカットにある1912年に建てられたコロニアル様式の自宅へと運びました。このシリーズでは、ラブドールとシモンズがお互いの関係を築き上げていく様子がクロノロジカルに収められています。シモンズは人形のために洋服を選び、ジュエリーや小道具を用意し、リビング、台所、バスルーム、あるいはプールの中や庭など、様々な場所で様々なポ―ズのポートレートを撮影しました。限りなく人間に似せて作られたがゆえに、人一人の手では着替えや移動もままならないラブドールと格闘しながら、シモンズは彼女らを刻一刻と移ろう太陽の光、冬から春へと変わる季節の中で、フィルムに記録していきました。シリーズ最後の日(DAY 31)に登場し、映像作品にも収められた「Geisha」は、シモンズが子供のときに描いた芸者のドローイングを、大切に持っていた姉(妹?)が偶然誕生日プレゼントとして贈ったことがきっかけとなりました。日本からやって来たラブドールが、日本人の着付師によって日本の着物をまとった芸者姿に仕立てられ、最後にはシモンズのアシスタントの女性、つまり本物の人間との共演を果たしています。その共演もまたある偶然による産物なのですが、それについては以下の映像作品をご覧いただければと思います。
『Geisha Song』: http://www.youtube.com/watch?v=RilTKShzT1E

写真集『THE LOVE DOLL』として刊行もされたこのシリーズは、ニューヨーク、ロンドン、アスペン(コロラド州)のギャラリーで発表され、瞬く間に好評を博しました。2011年ニューヨークのSalon 94で行われた個展の展評は、人形の大きさという物質的な問題にとどまらない彼女の作品の変化について、「シモンズは明らかに感情的な度合いを強め、彼女自身も彼女のプロジェクトもより豊かに、心理学の領域に終始しない広がりを見せている。これまでのより物質的で心理学的な、いわば毒を抜かれた演出ではしばしば失われていた\"アニメーション\"的な要素をも、巧みに使いこなしている」と評しています(Jeffrey Kastner, ARTFORUM, May 2011)。同シリーズは、森美術館で開催される10周年記念展『LOVE展:アートにみる愛のかたちーシャガールから草間彌生、初音ミクまで』(2013年4月26日~9月1日)へも出品されます。いよいよ日本で初公開となる待望の新シリーズを、是非ご高覧ください。

[作家プロフィール]
ローリー・シモンズは、1949年米国ニューヨーク州ロングアイランド生まれ。1971年、タイラー・スクール・オブ・アート(フィラデルフィア)芸術課程修了。現在ニューヨーク在住。作品はメトロポリタン美術館、ニューヨーク近代美術館、ホイットニー美術館、グッゲンハイム美術館、ロサンゼルス現代美術館、フィラデルフィア美術館、ウォーカー・アート・センターを始めとするアメリカの名だたる美術館にコレクションされているほか、アムステルダム市立近代美術館、イスラエル美術館、日本でも国立国際美術館、原美術館で所蔵されています。近年では2012年、スウェーデンのヨーテボリ美術館にて、ラブドールシリーズを含めたこれまでの代表作を赤、黄、青の3色に分けて展示する個展が開催されました。コムデギャルソンやシャネルほか、ファッションブランドとのコラボレーションプロジェクトも多く手がけています。


全文提供:小山登美夫ギャラリー
会期:2013年4月20日(土)~2013年5月25日(土)
時間:12:00 - 19:00
休日:日・月・祝
会場:小山登美夫ギャラリー
最終更新 2013年 4月 20日
 

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