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ベルンハルト・ブルングス 展:眠れるもの
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 2月 27日

"Georg Heym and Emmy Henning", 2008 copy right(c) Bernhard Brungs / Courtesy of Tomio Koyama Gallery

ベルンハルト・ブルングスの作品において、我々は文学史上の偉人たちと出会います。ドイツの詩人エルゼ・ラスカー=シューラー、オーストリアの詩人ゲオルク・トラークル、フランスの詩人シャルル・ボードレール、アルチュール・ランボー、ポール・ヴェルレーヌ。雑誌『デア・シュトゥルム』の発行者ヘルヴァルト・ヴァルデン、映画「吸血鬼ノスフェラトゥ」(1922)の監督として知られるフリードリッヒ・ヴィルヘルム・ムルナウ。 ドイツ表現主義、フランス象徴主義を中心に、19世紀末から20世紀初頭における芸術家と彼らが生きた時代、制作を行った環境をブルングスは主題とします。文学史への言及というユニークなアプローチは、伝統的なチョークの下地が施されたキャンバスにおいて現われます。抑制された色彩のスペクトルと妙なる陰影、そして光。控えめなグレーを基調としながらも、ブルングスのパレットから生まれる色彩は独特の輝きを放っています。

【この展覧会について】
この展覧会タイトル『Die Schläfer』(眠れるもの)は、ドイツの詩人ゲオルク・ハイム(1887-1912)が発表した詩のタイトルを引用しています。 ボードレールやランボーの影響を受け、歪曲された都市生活の怪奇さや世界の終末への不安を詠った初期表現主義の重要な詩人でありながら、若くしてスケートの最中に不慮の死を遂げるゲオルク。暗い室内で彼と向き合っているのは、ダダの先駆者であるフーゴー・バルの妻であり詩人のエミー・へニングスです。大戦の不穏な靴音が響く20世紀初頭、出会っていたかもしれない綺羅星のような文学者や芸術家たちが、ブルングスの用いる魔法で一堂に会します。 本展では新作ペインティング6点、ドローイング9点と、彫刻作品2点を展示いたします。

【作家プロフィール】
ベルンハルト・ブルングスは1974年ドイツ・ビーレフェルト生まれ。現在、ベルリンを拠点に制作活動を行っています。 デュッセルドルフ芸術アカデミーではフリッツ・シュヴェグラーに師事、修士課程を修了。2003年には、スベーニャ・ダイニンガー・マーカス・ブレッカーと共にケルンにおいてプロジェクト「aquarellbluten − Kunst Klub Köln」を立ち上げました。 アーヘン美術協会やブラウンシュワイク美術協会での展覧会を始め、ベルリン、ケルン、ウィーン、ロンドンなどヨーロッパ各地で展示を行っています。 2001年にウィッテン市よりGünter-Drebusch賞を受賞、2005年にはノルトライン・ヴェストファーレン州立美術館からのロンドン・レジデンシーに選出されています。

※全文提供: 小山登美夫ギャラリー

最終更新 2009年 3月 07日
 

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