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山本桂輔:起立
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 2月 27日

copyright(c) Keisuke Yamamoto, 2009 / Courtesy of Tomio Koyama Gallery

山本桂輔はペインティングとドローイング、また木彫作品を制作しています。作品では、木や草花、キノコ、小さな妖精のような人影などが、有機的な曲線に巻き取られながら、ひとつのフォルムとしてつながっていきます。平面作品は不思議なバランスで矩形に区切られ、それぞれの色面は、それ自体で花や昆虫などに見えたり、或は背景の空に見えたり、大きな森の中に隠れている小さな動物を探すように、私たちの視線は画面の中を自由に動き回ります。彫刻作品もまた、それ自体が森、あるいは建築物の一部であるかのような、イメージの広がりを持っています。身近なモチーフを具体的に取り上げていた初期と比べ、昨今の作品は全ての対象が溶け合ってしまったかのような、より複雑な構図を持っています。「絵を描くことは、底のない世界をさまようこと。それを見てしまったから、絵画からもう抜け出ることはできない」という作家の言葉どおり、彼の作品で重要なのは描かれる対象ではなく、目に見えないものまで含めた、不確かな世界の断片であるようです。

【この展覧会について】
本展では、高さ約5メートルの木彫作品を中心に、新作ペインティングも展示いたします。人物の顔や植物、奇妙な装飾パターンなどが30パーツ近く組み合わさってできる巨大彫刻は、不思議な宮殿のような迫力で見るものを圧倒します。展覧会タイトルである『起立』について、作家は以下のように述べています。

「僕の制作において、起き立ち上がらせる感覚はとても大事なものです。色々なものが絡み、影響しあい、崩れながらも組み立てていく中で、なんとか何かを起き上がらせて行こうとするわけですが、そこには必ず抵抗というか圧力のようなものがあり、本質的な内容が詰まっていればいるほど、容易くは立ち上がらす事はできません。立ち上がるという事は容易くなく、いかに人にとって大事なものであるかを改めて感じています。」

【作家プロフィール】
山本桂輔は1979年東京都生まれ。2001年に東京造形大学彫刻科を卒業後、同大学研究生として2003年まで在籍。木彫を専門に制作してきました。現在も東京を拠点に活動を行っています。小山登美夫ギャラリーでは、2004年Project Roomにて行われたグループ展「Field of Dreams」、2005年・2007年の個展以来、3度目2年振りの個展となります。2008年には、デンマークのギャラリーHelene Nyborg Contemporaryにて2度目の個展を行ったほか、「現代美術の展望 VOCA展 2008-新しい平面の作家たち-」(上野の森美術館)にも出展しました。

※全文提供: 小山登美夫ギャラリー

最終更新 2009年 3月 07日
 

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