展覧会
|
執筆: 記事中参照
|
公開日: 2009年 11月 29日 |
近年の山本の作風には、抽象的な要素と絡み合った絵の具の物質としての力強い存在がみられます。キャンバスに絵の具で描く、ということを目の当たりにする感覚を与えるのです。画面に描かれたものはイメージだけではなく、絵の具という物質としての存在をも主張しています。レリーフ状に盛られたそれは、もはや平面であることにはとらわれず、こういうものがペインティングである、という私たちがなんとなく信じていた約束事によって見えなくなっていたものを見せてくれます。このような進化/変化は、彫刻の出身の山本が、絵画と彫刻を常に並行して制作するなかでおこなう「横断」という試みによって可能になっているのでしょう。 【この展覧会について】 今回の展覧会タイトルである「横断」を山本は次のように説明しています。「画面の中を、作品と作品の間を、そしてまた様々な要素や次元を横断するという事。途中にあるであろう中間の存在。断ちきる事で表れる断面。繋がりや交錯の中で組み上げられていく秩序や、相互関係。これらの横断という意識は私が物を作る上で大事にしている部分です。それは、何かの再現ではない、存在へのアプローチの一つの手段であると考えています。」この展覧会では新作ドローイング数点と、同じく新作のペインティング12点を展示予定です。絵画でありながらものとして存在するそれらの作品は、イメージの中で色や形の交錯が様々なドラマを起こすことを見せてくれます。 【作家プロフィール】 山本桂輔は1979年東京都生まれ。2001年に東京造形大学彫刻科を卒業後、同大学研究生として2003年まで在籍。現在も東京を拠点に活動を行っています。2008年には、「現代美術の展望 VOCA展 2008 - 新しい平面の作家たち-」(上野の森美術館)にも出展したほか、Helene Nyborg Contemporary(デンマーク)にて2度目の個展を行いました。2009年には『ウィンター・ガーデン』(原美術館、東京、ケルン文化会館、ドイツ)、また11月20日より2010年1月10日まで、国際交流基金によるタイのバンコク芸術文化センターにて行われる展覧会『Twist and Shout: Contemporary Art from Japan』に、2009年3月に東京の小山登美夫ギャラリーでの個展で発表した、5mを越える木彫作品とペインティング作品数点を出品しています。http://www.jpf.go.jp/j/culture/new/0908/08-03.html 小山登美夫ギャラリーでは、2004年のグループ展のほか、2005年・2007年・2009年の個展以来、4度目の個展となります。 http://www.tomiokoyamagallery.com/artists/yamamoto/ ※全文提供: 小山登美夫ギャラリー
|
最終更新 2010年 1月 08日 |