花のひらく音を聴く |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2017年 1月 14日 |
染谷悠子の作品は、和紙のやわらかな風合いを生かしながら着彩し、重ねていくことによって作り上げられます。また、様々な筆致—鉛筆の線、水彩絵の具や墨を用いて筆で描かれる線、紙から引き出す繊維が形成する線など—を巧みに操る独特の手法によって、ロマンティックで軽やかな透明感を生み出します。蜘蛛の巣に絡めとられる蝶や、優しく彩られた花々に埋もれるようにひっそりと横たわる動物など、命の儚さが醸しだす微かな不穏さも作品の魅力を高めています。染谷は次のように語ります。「生きているものはそんなに綺麗ではないと思った瞬間がありました。命がそこにはない、何も入っていない、生々しさが抜けたものがすごく綺麗だと感じました。かと思えば、毛は生えている時の方が綺麗だなと感じ、抜け落ちた途端に生々しく思います。」美しく華奢にきらめく花や蝶、蜘蛛の巣、鳥たちは、虚無的ともとれる、染谷の「生」に対する感覚や矛盾を映し出しながら、鑑賞者を誘います。 全文提供:小山登美夫ギャラリー 会期:2017年1月11日(水) 〜 2017年2月6日(月) |
最終更新 2017年 1月 11日 |