サマーショウ |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 6月 21日 |
ギャラリーアーティストの作品およびギャラリーコレクションより構成するグループ展。 アーティストは、キムスジャ, 鳥光桃代、パメラ・ローゼンクランツ、バク・スンウ、スハーシニ・ケジリワル、ケン・ラムの6人です。同時代を生きるアーティストが、それぞれ異なった場所やバックグランドを持ちながら、彼らを取り巻く社会を映し出す鏡として、あるいは自己の内面をさらけ出すアウトプットとしての表現をお楽しみいただけます。 キムスジャは、写真、インスタレーション、パフォーマンス、ビデオなど、多岐に渡る表現方法で知られるアーティストです。「Sun Unfolded」(太陽—解く)は、インドのゴアビーチでビデオ作品「The Mirror Woman: The Sun & The Moon」の撮影をしている時に、まるで導かれるように撮影された6点からなる連作です。(展示はスペースの都合上5点)太陽の光が波のような呼吸動作でそのエネルギーを解き放ち、光線は同心円の波となって広がり、私たちの視界を照らします。太陽の周りで不思議な色の円を描く神秘的な作品は、曼荼羅を思い起こさせます。 鳥光桃代は、ビデオやインスタレーション、パフォーマンス作品を中心に、ニューヨークを拠点に活動しています。「Somehow I don’t feel comfortable」(なんか居心地悪いんだ)は、体長4.8メートルのウサギのバルーンです。日本の高度成長期の東京近郊に育った鳥光にとって、社会が考える「かわいらしさ」や「幸せ」の象徴がピンクのウサギであったと言います。そのウサギを巨大化し、天井に頭がつっかえてもなお、かわいらしさを強要される姿は未来への不安とアイロニーを感じます。 パメラ・ローゼンクランツは、私たちをとりまく世界を哲学や思想としてとらえようとします。どこにでもあるような一人がけのカウチは、よくみると座る事が出来ず、ファブリックには分厚くペイントが施されています。不条理やもどかしさを包括したその作品はときに論理的矛盾をはらみながら、自我や知性、美を追求しています。 スハーシニ・ケジリワルは、想像上の植物とも動物ともいえないような作品を鮮やかな色彩で生み出します。最初はその精密なイメージに引き込まれますが、やがてそこに描かれているものに、無意識が深い意味とともに浮かび上がります。バナナかと思って近づいてみるとバナナの房に見えたのは全部人間の指。その上に咲く深紅の花びらとともに、人間の善悪や欲望、エロティシズムを表現しています。 ケン・ラムの鏡やシンプルなテキスト、広告看板に見られる日常のイメージを併置した作品は、その解釈が見るもの視点に大きく委ねられます。「CAM」は洋服につけられるタグのようにも見えますが、真ん中で切断され鏡合わせとなったイメージによって意味を失い、それはロールシャハテストによって、失ったアイデンティティや人格を探し求める心理状態を思い起こさせます。また、バンクーバーという多民族都市に育ったラムは社会に向ける視線とその中でのアイデンティティへの関心を大きく反映しています。 キムスジャ Kimsooja 鳥光桃代 TORIMITSU Momoyo パメラ・ローゼンクランツ Pamela ROSENKRANZ スハーシニ・ケジリワル Suhasini KEJRIWAL ケン・ラム Ken LUM 全文提供: MISA SHIN GALLERY 会期: 2011年6月24日(金)-2011年8月13日(土) |
最終更新 2011年 6月 24日 |