唐津譲治:再生させる解消 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2009年 5月 28日 |
再生させる解消~唐津譲治の芸術における具象と抽象のダイナミズム~ このように、二人は一つになり、外から自分を把握できなくなってしまう。彼らは行為の主体ではない。彼らが動き、流れることで、感情的な干満に属していくのである。彼らは、すべて吸収し続け、広がっていく性交為の対象である。 解消は心理的次元で行う。つまり、彼らは別個の実在として行為しない。彼らは、すでに自分が誰なのか理解していない。彼らは自らを理解できない状態になっているのだ。解消は形象上の次元で行われる。つまり、我々は彼らの間に境界線を見出せなくなるのだ。 それは唐津譲治が提示する関係である。彼が描く性的融解はポルノグラフィティと異なるだけではなく、ポルノに対して正反対の性格を持たせる。ポルノは描写されたキャラクターと簡単に同一化させるメカニズム、つまり快楽と満足させる心理的からくりを供給する。ポルノは快感原則の下に仕える。唐津は主体性を解散させ、不安を引き起こすメカニズムを提示する。彼は死の欲動の力に道をあける。 このように、我々は一番急進的な表現で再生された性行為に参加する。それは、自分にエロス、生殖、単純な「生むこと」の彼岸にあるものを発見する性である。唐津は、オルガスムの峰を通って、ニルヴァーナへ、緊張の最低のレベルへ、完全な分散へ、つまり心理的次元と共に形象上の次元で行われる死へ導く行為を再生する。 ※全文提供: art project frantic |
最終更新 2009年 6月 05日 |