展覧会
|
執筆: カロンズネット編集3
|
公開日: 2012年 8月 03日 |
[作家コメント] 発表の機会を探すうちに撮影から十年近くが過ぎてしまった。 当時の記憶が薄らいでしまった今の感覚は、お預けを喰らっている間にうっかり居眠りしてしまって、 目が覚めたら何かをかすめ取られていたような、そんな状況に似ている気もする。 当時たしか動画作品を中心に作っていた頃で、立ち上がる仕草が妙に新鮮に思えて、何人かに撮らせてもらった覚えがある。 カメラを三脚に固定し、画面に入り込んできた対象をストロボの光で強引に静止させる。 どのように写っているかは仕上がるまでわからない。そんなことを繰り返していた。写すという意識から逃れたかったのだと思う。 その偶然の産物として生まれた“静止させられた動き”を並べたらどのように見えるのかを確かめたくて、 キクオさんのものを選んでファイルにまとめた覚えがある。不思議なことに、当初からこれを動画にするつもりはなかった。 あれから様々なことを試みる中ですっかり後回しになっていたが、ようやくの出番である(と言ったら、他人事の様だろうか)。 もちろん写真は動きを写せない。けれどもそのような感覚を少しでも沸き起こすことができたなら幸いである。 2012年6月 鷹野 隆大
[作家プロフィール] 鷹野 隆大(タカノ リュウダイ)
写真家。1963年福井県生まれ。1994年の初個展以来、セクシュアリティーをテーマに作品を発表。 2006年には写真集『IN MY ROOM』(蒼穹舎)で第31回木村伊兵衛写真賞を受賞。 近年は都市空間にも興味を持つようになり、2011年に日本の街並みをテーマにした写真集『カスババ』(アートイット)を刊行。 他の写真集に『男の乗り方』(Akio Nagasawa Publishing、2009年)などがある。 主な個展に『おれと』(ナディッフ アパート、2009年)、『金魚ブルブル』(ツァイト・フォト・サロン、2010年)、 『モノクロ写真』(Yumiko Chiba Associates viewing room shinjyuku、2012年)。 主なグループ展に『液晶絵画』(国立国際美術館、2008年)、『スナップショットの魅力』(東京都写真美術館、2010年)など。 2010年に鈴木理策、松江泰治、倉石信乃、清水穣と「写真分離派」を立ち上げる。
全文提供:ツァイト・フォト・サロン
会期:2012年8月24日(金)~2012年9月28日(金) 時間:10:30 - 18:30 (土 - 17:30) 休日:日・月・祝 会場:ツァイト・フォト・サロン
|
最終更新 2012年 8月 24日 |