展覧会
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執筆: 記事中参照
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公開日: 2009年 2月 27日 |
本展覧会では、自身の彫刻を被写体としたカラー・モノクロ両タイプの写真18点と、彫刻インスタレーションで構成されます。
小林且典の詩情 詩は形態をもって存在することは可能なのだろうか。まして色彩をまとうことは? 小林且典は、その問いに答えようとする。 緻密なブロンズのミニアチュア。ミニアチュアのブランコやジャングル。その表面を覆う漆喰の質感と、テーブルの上に広がる雪原のような白い広がり。それは塵埃の降り積もる、忘れられた過去なのだろうか。あるいは夢見られた未来なのか。広場のような台地は、皿とスプーンと水差しを載せて本来のテーブルに立ち戻る。カメラの焦点は主役のオブジェだけを明瞭に浮かび上がらせ、周囲は不均等な靄のなかに霞み、生み出されたイメージを詩的現実に転嫁する。時にはポップな青や緑、そして赤が控えめに浮かび上がり、周囲に彩りを与えながら、生命の鼓動をもたらすことになる。 現実と非現実、存在と想像、思い出と時間、崩壊と構築。それらの相対する言葉がぶつかり合い、そこに詩が生成する。小林の描き出したこの独自の空間は、美と名付けるのにふさわしい、かすかでふるえるような詩情をたたえて、写真というメディアの上に結晶する。 (森美術館館長 / 南條史生 )
※全文提供: 日動コンテンポラリーアート
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最終更新 2009年 2月 27日 |