作家コメント 「Silencerについて|柏原えつとむ」 私でなくても、誰がしてもそうなるだろうという事も私が厳守したいことのひとつです。 なぜならそれは私の魅力ではなく、絵画の持つ魅力だからです。 技術や構成も、烏口やコンプレッサーを使って、出来る限り厳密に進めるように心掛けていますが、これは厳密に見てくれることを求めるためではなく、逆に自由な気持ちで見てもらうためです。 物が物として厳密であればあるだけ、それに向き合う人間は自由な安心を得られるものだと、私は考えています。 作者の感性が生々しい画面は、動的な想像力を刺激しますが、想像の距離感と拡がりに乏しくなります。 作者の感性が見えないほど画面が厳密であれば、見る人々の想像力は時間感覚と距離感をともなって、遠くまで自由に拡がっていけると私には思えるのです。
「天地(あめつち)について|森川穣」 この作品を果たして「作品」と呼べるのか私自身自信を持てません。 そう呼ぶにはあまりに何も無さ過ぎるように思えるからです。 私はいつしか、何かを作りながら、何かを消す作業に夢中になっていました。 思い返せば、私が初めて自分の作品と呼べるようになった大学2年の進級課題「ERASING」からその感覚は始まったように思えます。 それは、10mのロール紙を100本の鉛筆で塗り、その後100個の消しゴムで消すというプロジェクトでした。 最後に残ったのは鉛筆100本分の削りカスと消しゴム100個分の消しカス、そしてぼろぼろになったロール紙。 それは単純なる引き算でもなければ、0に帰するわけでもない作用をもたらしました。 0と1の間の無限に拡がる豊かさに私は作ることを通して魅了され続けるのです。
柏原えつとむ 1941 兵庫生まれ 1965 多摩美術大学絵画卒業
主な個展 「<展>-柏原えつとむ」(1970-1999) 「方法のモンロー」(1972-1975) 「未熟な箱たち」(1973-1974) 「図の像」(1978-1981) 「Sの部屋から」(1987-1989) NOTES1999 「消しゴムの肖像」(コバヤシ画廊) NOTES2000 「浮力の検証」(ギャラリー16) NOTES2007 「クラインの壺 あるいは絵画の時間について」(ギャラリー16)
主なグループ展 1968 トリックス・アンド・ヴィジョン展(村松画廊、東京画廊) 1968 現代美術の動向(京都国立近代美術館) 1973 サンパウロ・ビエンナーレ 1975 パリ青年ビエンナーレ 1989 ドローイングの現在(国立国際美術館) 1999- グローバル・コンセプチュアリズム(NYクイーンズ美術館他) 2008-11 トリックアートの世界(豊橋市美術博物館他) 2010-11 これは本ではない(うらわ美術館他)
森川穣 1983 大阪生まれ 2006 京都精華大学芸術学部造形学科洋画専攻卒業 2007 Chelsea College of Art and Design Postgraduate Diploma Fine Art 卒業 2012 グループ展「風景の逆照射」(ギャラリーフロール/京都) 2011 第24回UBEビエンナーレ(ときわ公園/山口) 2011 柏原えつとむ|森川穣 「Silencer|天地」(studio90/京都) 2010 グループ展「BIWAKOビエンナーレ2010」(近江八幡/滋賀) 2010 個展「確かなこと」(京都芸術センター/京都) 2010 個展「雨の降るを待て」(studio90/京都) 2008 個展「彼の地」(studio90/京都)
※全文提供: studio90
会期: 2011年5月21日(土)-2011年6月12日(日)※予約制:
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/080-1505-6581(森川) 会場: studio90
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