岸幸太:もの、しみる |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2011年 5月 13日 |
岸幸太はこれまで「傷、見た目」として東京の山谷、横浜の寿町、大阪の釜ヶ崎、と同じ町を繰り返し撮影し制作をしてきました。人への興味はその人の持つ傷、見た目から始まると岸が語るように、作品の多くはこの町に暮らす人の姿を写し出していました。そして人が持つ、見ることを躊躇してしまう傷、無視してしまう生を見続ける姿勢は、撮影対象がものへと広がりを見せている本展でも一貫しています。 ものへの感傷や美しさを求めて撮影されたようには見えない、軒先の長靴や捨てられた衣類、店先に並ぶ作業用手袋や簡易宿の入り口に並ぶ履物などの写真。岸が見つめるのはこの町を象徴するものではなく、一見、どこの町のものなのかさえわからないようなものばかりです。しかし、そうして拾い集めるように写されたものには、この町に暮らす人の生が確かにしみついています。この町を見続けることで立ち現れる、生への確信に満ち溢れた岸の写真をぜひ、ご覧ください。 展示内容/ゼラチンシルバープリント、203×254mm、約30点 岸幸太 KISHI Kota 個展 グループ展 出版物 ※全文提供: photographers' gallery 会期: 2011年6月21日(火)-2011年7月17日(日) |
最終更新 2011年 6月 21日 |