野村佐紀子展 4 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 4月 29日 |
複数回の連続企画、「野村佐紀子写真展」。昨年11月の第3回目に続き、今回は第4回目となります。野村佐紀子の世界を十分ご堪能いただきたく存じます。 野村は、すでに数多くのキャリアーを積み重ねてきた作家です。氏の中心的な仕事として、淡い光と深い闇の狭間で密やかに写された裸体の男たちの写真がよく知られています。確かに、野村が写し出す写真群は妖しい美しさを湛え、見る者を引き込まずにはおきません。しかも、最初期の作品から最新作にいたるまで、そのスタイルの独自性と内容の一貫性は強く保持されています。この間、野村のエピゴーネンが現れては消えてゆくなかで、当の作家のみが孤独に自らの世界を探求しつづけていることは、驚きに値することです。そこには、作品として結晶した淡いイメージからは想像しがたい、自身の強く生きてゆこうとする意志が伏流しているのではないでしょうか。『夜間飛行』や『黒闇』といった近作の写真集でよりわかるように、野村にとって写真とは、この世の隠喩なのです。 また、同フロアのKULA PHOTO GALLERY にて「REQUIEM」を同時開催致します。 今年の冬、野村のモデルであったひとりの男性が43才の若さで急逝しました。野村は、その男性モデルを写真家としてのキャリアーの最初期からつい最近まで撮り続けてきました。言うまでもなく、野村佐紀子はもっとも重要な被写体を失ったのです。モデルの死後、野村はこれまで以上に風景を撮ることに没入していきました。この展覧会では作者の希望にそって、それらの風景写真を哀悼の思いを込めて展示します。 野村佐紀子 Sakiko Nomura 全文提供: photographers' gallery 会期: 2011年6月2日(木)-2011年6月17日(金) |
最終更新 2011年 6月 02日 |