堀藍:物有引力 |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2011年 1月 06日 |
堀藍の表現は、一貫して、ごく身近な日本人の生態、行動、お仕事を観察している。それは作家自身のスガタも投影しているのだが、画面に現れる人間に対して、こちらから見ている側(描いた本人でもあり)とは常に少しだけの“距離感”がつきまとう。まさに、その微妙なズレ、もしくはアンバランスさが、『現代・日本』の状況を映す堀の真骨頂であるかもしれない。そして、登場する人々は、どこから見ても、そこらにいる日本人であり、どことなく、滑稽で、オカシク、そしてちょっとの哀しさも漂う。 さて、版画という表現形態である。版画というのは、“版”を作りあげてから、それにインク等をつけたものを別の素材に摺りとる技法である。ドローイングやペインティングとは違い、一工程の余分な手間が必要である。あえて、その無駄ともいえる間接的な媒体の版制作を挟むことで、堀の表現のコアな部分である微妙な距離感を醸し出すことに貢献する。 さらに、タイトルをローマ字表記にすることで、一般的に日本人が生まれてからずっと馴染んでいる母国語である日本語のある特定のイメージからすこし自由になれる。 堀藍の作品に接するたびに、作家が感じている得体の知れない日本の世の中を、“違和感”のあるリアルなものとして、魅せつけてくれる。それは、堀が思索している自分と自分の外側との関わり方の痕でもある。 堀藍(HORI Ai) 個展 グループ展 コレクション ※全文提供: Ohshima Fine Art 会期: 2011年1月15日(土)-2011年2月5日(土) |
最終更新 2011年 1月 15日 |