「祐成勝枝が新しい地平に立っている」と私は思う。祐成さんはここ数年、野菜や花を育てている。本展の出品作は「庭での出来事」をモチーフにしている。
祐成さんのアトリエで、夥しい数のドローイングや水彩や油彩を見たとき、そこに彼女の日常の葛藤がぎゅうぎゅうに押し詰まっていると思った。畑を歩きまわって大きな石を動かし、土を耕し、植物の成長を見る。小さな芽を、葉の一枚一枚を、種子を、花を慈しみ、いとおしむ。日が暮れる。かつて農家の女たちが普通にやっていた日常。それをなぞるかのように祐成さんは体を張って絵に昇華していく。身体を通して得た感覚の誠実さ。確かさ。平面が折り重なるように描かれた独自の空間感覚、柔らかでビビッドな色彩感覚、丁寧に引かれたなめらかな線、大胆に塗りこめられた色面。ときに近づき、ときに俯瞰しながらそこに描かれる植物や作業小屋や、道や山が作品の中で息づいて、見るものをゆったりと包み込んでくれる。それはまさに、この地上に生命を得たすべてのものへの讃歌である。
祐成勝枝 Katsue Sukenari 1964 福岡県生まれ 1985 武蔵野美術短期大学卒業
主な個展 2009 ギャラリー五辻 / 東京 (’06、’04) 2008 ギャラリーゴトウ / 東京 2007 ANA MEETS ARTS 羽田空港内ラウンジ / 東京 2003 パーソナルギャラリー地中海 / 東京、M.E.L. Kunsthandel / ウィーン 2002 フォーラムアートショップ / 東京 2001 ART STUDIO SONE / 小田原 2000 Another Bright Story 三菱化学研究所内 / 横浜、 モリスギャラリー / 東京 (’98、’97、’96、’95、’93) 1999 かわさきIBM市民ギャラリー / 川崎、 井筒屋美術画廊 / 福岡、 ギャラリーアート9 / 福岡 1998 T&S / 東京 1993 J2ギャラリー/ 東京(’92) 1990 かねこ・あーとGⅠ/東京
主なグループ展 2005 Anと作家展 appel / 東京 2004 ART /ROOM展 ヒルサイドギャラリー / 東京 2002 形と色彩の間に ギャラリーゴトウ / 東京 2001 アートセラピー絵画展 聖路加画廊 / 東京 (’00)、 自慢・満足 ギャラリー21+葉 / 東京 (’00、’99)、 SIX DIRECTIONS ヒルサイドフォーラム / 東京 2000 M’s Collection Bar&Gallery Toki / 東京 1998 3Works ギャラリー椿 / 東京 1997 新起一転 アートフロントグラフィックス / 東京 1996 ART TODAY1996 ひながた・これは現代美術ではない セゾン現代美術館 / 長野 1994 Jahres Ausstellung Akademie der bildenden Kunst Munchen / ミュンヘン O Raum / ミュンヘン
主なコミッションワーク 川崎医科大学付属病院/岡山、 関西電力/大阪、 カシオ計算機㈱八王子技術センター、 公立阿岐留医療センター / 東京、 JRタワー / 北海道
※全文提供: アートフロントギャラリー
会期: 2011年1月18日(火)-2011年2月6日(日) 会場: アートフロントギャラリー オープニングレセプション: 2011年1月18日(火)18:00 - 20:00
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