阪本トクロウ:けだるき一日生きるだけ |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2010年 12月 13日 |
アートフロントでは旧アートフロントグラフィックスで2008年に開催した「ビューティフル・ドリフター」展以来、2年ぶりの個展となります。 今年東京で開催されていた個展では波紋などこれまでと異なるモチーフが登場。また甲府の展覧会では駅ビルのように大きなビルが画面全体に描かれたものなど、新しい方向性が見え隠れしているようです。その一方、無人で、無機質で、しかも空気を感じさせる空間を見せる独特の風景づくりは一貫としています。 阪本の絵の中の風景では、交差点、遊具や遊園地、あるいは公園の鳩などスペクタクルもなく淡々と、それこそ「けだるく」、日常は流れていそうです。阪本の描く風景はどこにでもありそうなステレオタイプな風景で、「どこ」とか「いつ」を限定はできず、時間を引き延ばしたような「けだるさ」を感じさせることはありますが、いつか実際に見た私たちの中にある記憶とデジャヴュのような「はっと」する共鳴を起こすことも事実です。のびのびとした自然などを扱っているわけでもなく、現代の私たちの日常のありようを扱っているとても現代的な作品であるのに、鬱屈したものを感じさせないのは、広がる空であったり、どこまでも続いていきそうな電線や道や土手など、描かれていない連続や空間が描かれた「もの」以上に際立たせているからでしょうか。それらの広がりの中で人の作った信号や街頭はとてもちっぽけに見えます。 今回の新作展示では、日常と非日常の交差する、はっとする瞬間を体験できると思います。 阪本トクロウ Tokuro Sakamoto 主な展覧会 パブリックコレクション: 山梨県立美術館 ※全文提供: アートフロントギャラリー 会期: 2010年12月4日(土)-2010年12月26日(日) |
最終更新 2010年 12月 04日 |