筒井伸輔 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2010年 5月 14日 |
2010年|ロウ、オイルパステル、キャンバス、パネル|134.3×84.2cm | Copyright © TSUTSUI Shinsuke | Courtesy Mizuma Art Gallery 半透明な蜜蝋の質感を生かした深みのある筒井の作品表現は、近年では鮮やかな色彩を加えることによってより絵画的になってきました。 身近で採集した蟻や蜂、蛾といった小さな昆虫の死骸は、そのイメージを全く認識できないくらいに断片化され作品へと昇華します。 主観をそぎ落とし作り上げてきた抽象画にも見えるその表現は、さらに毒々しいまでの彩色を施すことによって、また意識的にモチーフをトリミングすることによってより具象性を増してきました。 届くはずのない声が色層をやぶって聞こえてくるような、渦を巻き絡み合う情念があふれ出すようなドロドロとした感覚。静謐さゆえに鋭く突き刺さる視線。 筒井が提示するのはノスタルジックな幻影ではなく、今を生きるものたちの確かな存在であり、その存在もまた、別の対象物へとつながっていく無限の連鎖であることに気付かされるでしょう。 永い眠りについた者たちの、かつて命を宿していた証を辿って想いを馳せるのではなく、今そこに実存するもの、形をかえて存在するその息吹の一端に耳を済ませて欲しいのです。 本展では、キャンバス作品やドローイングに加え、より作品世界を体感していただけるよう実際に筒井が使用している顕微鏡を展示する予定です。 顕微鏡を覗いて始まるミクロの旅の果てにあるものは永遠の不在か実存か。皆様自身の目で確かめていただきたく、ここにご案内を申し上げます。 全文提供: ミヅマアートギャラリー 会期: 2010年6月12日-2010年7月17日 |
最終更新 2010年 6月 12日 |