田中英行:空宙の∞ ~忘却の果ての歴史α~ |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2010年 1月 11日 |
田中英行は、2002年のAntenna結成当初からのメンバーであり、初期の映像を中心とした作品を発表していた頃より、多様な作品展開を見せる現在に至るまで、立体造形、映像編集、様々な素材・メディアを自在に行き来しながら、Antennaの活動に関わってきました。 また、2008年の岡本太郎現代芸術賞展への出展を機に、広島アートプロジェクト2008年/2009年、わくわくJOBAN-KASHIWAプロジェクト等の展覧会に参加し、2010年もビワコビエンナーレに出展(予定)など、個人での創作活動が増えており、Antennaとしてはもとより、個人作家としても今後ますます活躍が期待されるアーティストです。 初の個展となる本展は、田中にとって京都における初の展覧会でもあり、これまで制作してきた過去作品、さらには本展のために作られた新作が一堂に会す、またとない機会となることでしょう。 私は今まで自身の記憶や過去の出来事を作品のモチーフとしてきました。しかし自分の過去を辿りながら自身の誕生にまで想いを巡らせた時、私の意識の深い所には未知なるものが存在する事を感じました、自分のカタチを形成している遺伝子は生物誕生からの時間を受け継ぎ、私の体を形成している物質達は宇宙誕生の時から様々に姿を変え、現在の「私」として存在しています。それらを含む多くの事象は自分自身を超えた記憶、情報、歴史として、私の意識が自覚できる領域をはるかに超えた長い宇宙の時間と共に在る事、自分はその刹那の断片にすぎないのだと思いました。これまでの作品は表層的な意識に囚われ、自己の深部に内在する時間と遠くかけ離れたところにありましたが、次第に私の興味は私自身では無くもっと違う形で自身に宿っている途方もない記憶と向き合う事へと変化し、そこから生まれるモノを表象化したいと思うようになりました。 田中 英行 (たなか ひでゆき) ※全文提供: AAS |
最終更新 2010年 2月 11日 |