松井智惠:An Allegorical Vessel(寓意のいれもの) |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2009年 10月 04日 |
1980年代よりインスタレーションの作品によって知られている松井智惠の、近年主流となった映像とパフォーマンスを駆使した寓意的な内容をもつ新作のビデオ作品をご紹介いたします。 出品作品についての作家コメント 「HEIDI49 vision - mist」について」 ですから、今回の「vision-mist」には、「vision-river」と、同じ風景がでてくることもあります。が、少し映像自体に加工を施し、今までと異なる側面から、アプローチを試みてみようと、しています。 「イメージ」は、霧の中にいるように、立ち現れては消え、自ら歩み寄ることでしか、獲得できないということを軸にして、「現と夢」の間に存在する空間を「映像」と「ドローイング」で、表現することを、試みます。 朽ち果てた場所や、荒れた彩度の低い土地ほど、様々な物語を語ってくれます。人と近しい大きさの自然は、そのように、人の記憶と重なり合うことが、比較的容易です。それに反して、人の大きさを凌駕した自然の中では、人の個人的な日常の記憶と重なり合うことが難しくなります。自然と戯れることができるようになるには、街からやって来たものにとっては、とても、困難な現実となります。 『HEIDI49-vision』では、その両方の側面からの接近を試みてみます。人の内なる自然への憧憬と、統御し得ないという畏れ。それは、人生そのものの様態とも言い換えることができるかもしれません。 映像制作にあたって、寓話のなかや、寓意に潜っていた要素を、映像空間の中に架設的に置いてみることをしてみました。そのような状態に、今までにも登場したHEIDIを置いてみると、寓意の隙間から、vision=情景と、光景と、風景がないまぜになったものが、見えてきたのです。風景と光景の間に近づくことができるでしょうか。私自身を含めて、勇気をもった作品を目指します。 全文提供: MEM |
最終更新 2009年 10月 17日 |