黒崎香織:SOMETHING TO SEE |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 8月 28日 |
黒崎香織の作品は、オイルパステルで巨大な半紙いっぱいに描いた蛾や風景の絵画です。書道用の半紙を継いで約2メートル四方にした紙に、はみ出すほどの大きさで、羽根を軽く広げた蛾が画面上に配置されて描かれます。 塗り込められた色は油彩のように重厚で、蛾の体毛の質感や羽の模様が、和紙の毛羽立ちや透明感で強調され、薄い紙が風で揺れるとき、一瞬騙し絵のように視点が揺らぎます。 子供の頃から蛾が怖くて克服しようと描き始めたシリーズですが、描いているうちに蛾の羽の持つ独特の強烈な魅力に捕らわれるようになりました。 平行して描いている風景画では、矩形の中に矩形の風景を入れ子にして、視線を複雑にさ迷わせます。ともに写真をコラージュして構成してから紙に起こす制作方法をとっており、画面の端から埋めるように描きます。描いている狭い範囲へ常に100%の力を注ぎながら進むため、画面全てに均等の力が拮抗し、奥行きがわからなくなり視点は混乱してモチーフの焦点が消失していきます。 黒崎香織は現在京都市立大学大学院在学中で、ずっと地元京都で生活をしてきました。着物の図案を描く父の仕事を見て育ち、サブカルチャーと絵画が好きで、在学中に少女向けイラストの仕事をするなど、古都の伝統の中で常に新しいものを指向して描き続けてきました。 今展は初の個展となります。薄く軽やか、濃厚で激しい、若いエネルギーをぜひ会場でご覧ください。 黒崎香織 全文提供: INAXギャラリー 会期: 2011年9月1日(木)-2011年9月28日(水) |
最終更新 2011年 9月 01日 |