ペットボトルや電池、フェイクファー、LED、かぜ薬、商品を包むパッケージなど、私たちの暮らしは、合成樹脂や炭素材料、化成品、医薬品など多様な技術と素材によって支えられています。
本展では、これらを幅広く提供しているMCHCグループとアーティストが出会い、植物の息づかいが感じられるカフェや蓄光塗料で描かれた絵画、ブラックホールのような没入型すべり台など、21組のアーティストそれぞれが考える「KAITEKI」を、多彩な素材と技術を用いて、絵画、彫刻、インスタレーション、ファッションなど様々なかたちで表現します。
会場デザインを手掛けるのは、気鋭の若手建築家・谷尻誠。アルミのフィルムを用い、水面のように煌めく空間を 創り出します。 アーティストの自由な発想と斬新な手法が紡ぎだす、「KAITEKI」のかたち。是非ご期待ください。
【出品作家一覧】 ◆日比野克彦 「身近なのに、知らない。水中の世界を描く、長大な絵。」 ポリプロピレンを主原料とし、水や衝撃に強く、資源としても再利用できる紙のような素材「ユポⓇ 」。日比野克彦は、このロール紙状のユポⓇを三宅島の海に沈め、海岸から海底へとつながる長大な絵を描き下ろします。陸と海の境界を越えた絵は、私たちを取り巻く世界や環境のあり方に、新たな眼差しをもたらします。(ユポⓇはユポ・コーポレーションの登録商標です)
「地上からは見えない海の中は、地上で生活をする人間にとっては知らなくてもさほど困らない世界なのか?地上の事は2万キロ先の地球の裏側の事まで知っているのに、海の中の事になると目の前の海岸の水深2mのことは知らない。いや知らないということも気が付いていない。地上から水中へ向かう視点。水中から地上に向かう視点。この行き来することを試してみよう。」(作家コメント)
◆津村耕佑 「工業用資材を用いて生まれる、未来形のファッション」 津村の代表作品である「FINAL HOME」は、ポケットに新聞紙を詰めれば防寒着に、非常食や医療キットを詰めれば避難着になる“究極の家”というコンセプトに基づいた衣服。東日本大震災の被災地に出向いた津村が、改めて「FINAL HOME」に向き合い、三菱レイヨンの工業用資材を用いたアウターを制作します。 「工業用資材をうまく使うことで、ファンタジーという付加価値を足したい」と語る津村。 資材がファッションへと昇華する、帆布やデニムの未来形とも言える作品です。
「『モードを読み変える』 ファッションの表面的な変化は加速するばかりですが根底に流れるモードはリピートされるだけです。それを組み換える必要が今あるのです。」(作家コメント)
◆ジャン=リュック・ヴィルムート ≪Dome with Sounds of Plants≫ スパイラルカフェを、植物が生い茂る空間にダイナミックに転換。中では、植物の静かな息づかいを耳にすることができます。
◆葉山有樹≪生命の詩≫ 物語性に富んだ、精緻な絵付けを施した磁器作品で知られる葉山有樹。今回は、ガラスの漏斗から数秒に一滴、森羅万象を描いた器に水が落ちるインスタレーションを制作。水が溜まる器の周囲には、ヒビ割れた土が2m四方に広がり、砂漠の中で水をたたえるオアシスをイメージさせます。
◆真鍋大度+石橋素 ≪fade out≫ アート、デザインからDJ、VJ、舞台演出など様々な分野で、インタラクティブなメディアを用いて精力的に活動する真鍋大度と石橋素が、蓄光・蛍光塗料を素材にインスタレーションを演出します。
◆鈴木太朗 ≪ボーボゥ≫ 化成繊維を用いた、毛むくじゃらの生き物のような作品。人が近づくとセンサーが反応し、猫の毛が逆立つように、繊維がブワッと立ち上がります。人工的な素材を用いながら、生き物の持つ躍動感を表現しています。
◆佐藤好彦 ≪Wormhole≫ 大量生産された製品を素材に、「伸ばす」「増殖する」などのアレンジによって、そこに潜む機能や形態のエネルギーを増幅させた彫刻を制作している佐藤好彦。今回は、炭素繊維を素材にブラックホールを思わせる巨大な没入型滑り台を展示します。
◆井上実 ≪空地の植物≫ 太陽光や蛍光灯などの光エネルギーを蓄え、暗闇で光を放つ“蓄光塗料”を絵具に用い、みずみずしい植物の姿を描いた絵画作品です。
◆木下雅雄 ≪シュリンクガール≫ 筋繊維が強調された彫刻作品で注目を集める木下雅雄が、キリン「午後の紅茶」のペットボトルに使用されているシュリンクフィルムをベアトップドレスとして身にまとった、H50cm程度の彫刻3体を制作します。
◆真喜志奈美 ≪ボンベ+ステッキ≫ プロダクトデザイナーとして幅広く活躍する真喜志は、メガネや鞄のように洗練された“ウェアラブル”な携帯酸素ボンベを提案。ボンベはステッキ型、酸素吸入はメガネ型にし、外出をより楽しめるようなデザインに仕上げました。本展ではコンセプト作品を展示。
◆児嶋サコ ≪The Eggs in a mother. ≫ ハムスターやウサギなど小動物をモチーフにした絵画やパフォーマンス、彫刻作品で知られる児嶋サコが、今回は約1.8mの母親の姿をしたネズミがランプ型の卵を温めているインスタレーションを制作。エネルギーと生命にまつわる営みを考えるきっかけを提示します。
全文提供: 株式会社地球快適化インスティテュート
会期: 2011年7月29日(金)-2011年7月31日(日) 会場: スパイラルガーデン(スパイラル1F)
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