大崎のぶゆき:scribble |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集3 |
公開日: 2012年 7月 02日 |
大崎のぶゆきは現在まで、様々な方法や素材、平面や立体、映像といった方法、また全く違った表面を持つ作品を同時並行的に制作しながら「メタリアル/メタフィクション」という現代社会における私たちを取り巻く自身のリアリティについて独自でかつオリジナルの方法を用いて、この世界の「リアリティの不確かさ」を明らかにしようと試みています。最近の代表的な作品には、前回の個展などで発表した、描かれた山や滝が溶解してゆく「falls」や、クンストハウス・ハンブルグやアートフェア東京での個展などで展示した、顔の絵が溶解していく「Portraits」などがありますが、今回はそれらの作品群とは全く異なった表面を持つシリーズ「dimension wall」の新作のインスタレーションを展開いたします。 「dimension wall」とは壁そのものをモチーフに私たちの生きる世界、空間そのものを曖昧なものとして描き出そうと試みる作品です。壁に描かれた模様やイメージがドロドロと流れ出していくことで、「2次元から3次元」、また「下地と図柄」が反転する境界の瞬間を映し出します。時間の経過とともに、流れ出すイメージが画面いっぱいに広がり、最後にブラックアウトする映像インスタレーションは、私たちの知覚と認識に対して「そうでないかも知れない」という眼差しと、この世界の不安定さや揺らぎを投げかけます。大崎の他の作品同様、これらの作品もCGによる物理演算で作られたものではなく、実際にこれらの状況を作り出し撮影するという手法を用いることによって、私たちのリアリティの所在を表現しています。 大崎のぶゆきは1975年大阪生まれ、2000年京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻(版画)修了。在学中より自身のリアリティをテーマにした制作を開始し、初期の活動には版画や平面作品を中心とする作品が多くありますが、2002年頃から立体やインスタレーション、2005年頃からは映像作品へと手法の幅を広げることで「メタリアル/メタフィクション」についてより深い洞察を表現することを探求してきました。最近の主な展示に「第12回文化庁メディア芸術祭」(2009年、国立新美術館、東京)、「Exhibition as media 2009『drowning room』」、(2009年、神戸アートビレッジセンター、兵庫)、「Haut. Mythos und Medium」(2009年、Kunsthaus Hamburg、ハンブルグ)、「ポジション2012名古屋発現代美術 ~この場所から見る世界」(2012年、名古屋市美術館、愛知)などがあります。また、今秋の兵庫県立美術館で開催される「現代絵画ー学芸員の眼(仮題)」展にも出品を予定しております。 本展の同時企画といたしまして、6月26日(火)から7月16日(月)までNADiffのウィンドウギャラリーにて映像作品「portraits of mirror」を展示いたします。これは、顔の絵が溶解していく「Portraits」シリーズのなかのひとつで、顔のイメージが鏡の反射を通して投影されるインスタレーションです。またこの機会にあわせて、近年の作品を纏めた、大崎のぶゆきの初となる作品集を出版する予定です。 [作家コメント] 関連展示 大崎のぶゆきHP 全文提供:YUKA TSURUNO 会期:2012年7月7日(土)~2012年8月11日(土) 時間:11:00 - 19:00 休日:日・火・祝 会場:YUKA TSURUNO |
最終更新 2012年 7月 07日 |