青山大輔 展 |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2011年 1月 18日 |
たとえば、絵具が偶然醸し出す色の滲みや、ある色と別のある色が混色されたときの抑揚のある状態や、筆やナイフで描かれたときのマチエールなど、あらゆる偶発性が絵画の表現となり、廃墟の壁面のようなフラットで浅い空間や、ある種の茫漠な浮遊感をともなったイメージをキャンバスに定着させるとしよう。それらの漠然としていて曖昧でつかみどころのないイメージであったとしても、そこには何がしかの対象が潜んでいる。また、ある壁のしみが人の顔に見えたり動物に見えたりするのも、我々が対象を追い求めているからなのだが、そこには集中力のような、ある力の集約を必要とする。そして、実際そのような力の集約とは、対象をその対象として恣意的に見るためのコスト(経費)なのではないだろうか。(わたしはこの展示のタイトルを《Object》と名付けたが、もうひとつ候補としてコストスという言葉を挙げた。それは古代ギリシャ語で火にくべられたという意味で、コストの語源にもなっている。) ※全文提供: 藍画廊 会期: 2011年2月7日(月)-2011年2月12日(土) |
最終更新 2011年 2月 07日 |