現代美術工芸の新しい地平 Part1 : 漆と陶 - 素材を超えて |
展覧会
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執筆: カロンズネット編集3
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公開日: 2014年 3月 06日 |
工芸の世界は、素材と技法、技術や修練に裏打ちされた表現をもって初めて作品としての存在感と輝きを増します。既成の技法や様式、表現方法を踏まえつつ、新しい造形の可能性を大胆に切り開いていく現代の若手の作家たちの作品は、いままで見たことのないような不思議で斬新で魅力的な世界観に満ち溢れています。 異素材との融合、素材の持つ表情を極限まで活かした質感、ディティールへのこだわり、古典と現代を調和させた超現実的世界など、時に過剰で大胆で、また一方でとてつもなくシンプルな表現が特徴といえるでしょう。とらわれのない自由闊達な制作姿勢は、伝統・文化を基盤としながらも、確実に新しい現代的美術表現を探求するものです。 今回は、現代美術工芸の新しい地平を拓く作家たち4人の作品を紹介します。 石塚源太は、張りと柔らかさを兼ねたフォルムと透明感のある漆の表面の美しさを追求し、質感から身体的に感じる「つや」の振る舞いを作品化します。カッターナイフや針などの日用品を作品に配し研ぎ出した図柄は思いがけない美しさをあらわします。 東端唯は、漆の制作過程の偶然のテクスチャーを作品イメージに積極的に取り入れ常に新しい漆の表現の挑戦を試みます。用の美を超え、偶然と必然を織り交ぜながら漆の様々な表情を空間に取り込んでいきます。 植葉香澄は、龍や鳥、蛇など様々な動物を模したフォルムに、古典的な文様と現代的で鮮やかな色彩が混じりあい調和する磁器作品を制作します。代表作「キメラ」は、ギリシャ神話に登場する様々な動物の遺伝子を持つ複合動物に由来し、過剰なほどの装飾性が見るものを楽しませてくれます。 田中知美は、小さな襞を一枚一枚手びねりで貼って集合させ、生命体のような有機的で繊細な陶のオブジェを制作します。要素を減ずることで洗練へと向かった工芸において、加算しながら洗練されていく稀有な作風といえるでしょう。 渋谷ヒカリエという新しい文化の発信拠点で、その鮮烈な作品群をご堪能ください。
[作家プロフィール] ■石塚源太 1982年 京都生まれ 京都市立芸術大学大学院工芸科修了、京都市伝統産業技術者研修 終了 張りと柔らかさ、透明感のある漆の美しさを追求。 ■東端唯 1974年 京都生まれ 漆工芸の家系に育つ。漆芸家鈴木雅也氏に師事。京都工芸繊維大学卒。 建築、インテリア、プロダクトデザインなど新しい漆の可能性を探る。
■植葉香澄 1978年 京都生まれ 京都市立芸術大学卒業 京都府陶工高等技術専門学校図案科卒 動物の形態に古典的な文様と、現代的で鮮やかな色彩が調和する磁器作品を制作。 ■田中知美 1983年 兵庫県生まれ 愛知教育大学大学院教育学研究科修了 小さな襞を一枚一枚手びねりで貼って集合させ有機的なオブジェを制作。
EVENT レセプション&アーティストトーク 3月7日(金)18:30~20:00 ゲスト: 石鍋博子(ワンピース倶楽部代表)、坂井基樹(編集者) 要予約 (
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) 企画: アートフロントギャラリー
全文提供:渋谷ヒカリエ8階 CUBE
会期:2014年3月7日(土)~2014年3月17日(土) 時間:11:00 - 20:00 (最終日は17時まで) 休日:日・月 会場:渋谷ヒカリエ8階 CUBE
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最終更新 2014年 3月 07日 |