古川吉重:Drawings from the 1980's |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集3 |
公開日: 2013年 4月 17日 |
近年、欧米において日本の戦後美術運動「具体」や「もの派」が再評価されています。しかし、戦後に渡米し活躍した日本人作家は、一部を除き日本での発表が限られています。「Drawings from the 1980\'s」展では、約40年ニューヨークを拠点に制作活動を行った、古川吉重(1921-2008)の未発表ドローイングを紹介致します。 古川吉重は、1943年に東京美術学校(現:東京芸術大学)を学徒出陣により繰り上げ卒業し、終戦後、本格的に制作活動を開始しました。1949年に独立賞(独立美術協会)を受賞し、読売アンデパンダンなどで発表を続け、日本の画壇で活躍しました。その後、1963年にニューヨークで開催された世界美術家会議のオブザーバーとして渡米し、2000年に帰国するまでそのままニューヨークにとどまり、制作を続けました。個展は、ニューヨークを中心とし、日本橋画廊を皮切りにイーストハンプトン・ギャラリー、ロータス・ギャラリー、コンデッソローラー・ギャラリー、フリードマン・ギャラリー(アルブライト・カレッジ)、マーシャウッド・ギャラリー(アトランタ)などで大作の発表を続けました。 日本においては、1976年に、13年ぶりの一時帰国時にフマ・ギャラリー(東京)で個展が開催されました。日本で初めてゴムシートで画面が構成された斬新な作品を発表し、注目されました。当時、古川の作品は日本の若手作家に刺激を与え、メディアにも大いに取り上げられ、また受け入れられました。今回、そのときのゴムシートのイメージを基にして制作したものや1980年代のドローイング(76.5 x 105 cm)など6点を紹介致します。黒を基調にしたこれらの作品から、当時のニューヨークのダイナミックさと、古川の強い意志が感じられます。また、古川の繊細さを秘めた鋭い線と構築性には存在感があり、画面を埋め尽くしているその黒い線は、まだ日本には無かったグラファイト・スティックによって描かれています。これらは、ニューヨークのスタジオで眠っていた未発表作品です。古川の意思が、この展覧会によって少しでも新しい刺激を生み出し皆様に伝われば幸いです。 [作家プロフィール] 全文提供:KOKI ARTS 会期:2013年4月6日(土)~2013年5月25日(土) 時間:12:00 - 19:00 休日:日・月・火・祝、5/8-9 会場:KOKI ARTS |
最終更新 2013年 4月 06日 |