川尾朋子:呼呼応応 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 9月 21日 |
空中での筆の軌跡が縦横無尽に広がり展示空間を埋め尽くす。そこにある「呼応」の「呼」の点。それはどこに向かい、どのような軌跡をたどるのか。留まることなく展開を続ける川尾朋子の「呼応」シリーズの最新作となる本展では、幅3メートルを超える大作2点を含め、6点を展示する。 本展を開催するにあたって、私は強い“信念”を持っている。それを支えるキーワードを、いくつか述べさせて頂きたい。 [①Simplicity, universality / 川尾朋子の仕事はシンプルである。] いわゆる書作品の鑑賞法として、書を嗜む者が当たり前のように行うのが「追体験」である。線を引くスピード、跳ね上げるタイミング、次の形状へ移る時のリズムなどを、その作品の前に立ち、辿っていく事によって、観る側と書き手との同調や差異の妙を味わう事ができる。勿論、油彩画や写真作品でもある程度制作プロセスを想像して楽しむ事は可能であるが、事後編集を行わない、Single-layeredな技法(川尾の言葉を借りると、「一発勝負性」)である故に、その追体験の密度がはるかに高い。川尾朋子の作品の魅力は、観る側と作り手とが繋がる事に、鑑賞者を選ばない普遍性(Universality)にある。 [②Identity color / 川尾朋子の“黒”は必然である。] [③Correlation / 「呼応」] 川尾朋子が掲げるテーマ「呼応」。その作品と活動の先には、日本の芸術、或いは墨を使った、伝統的な作業に裏打ちされた、「狭くて深い芸術」としての観念から、グローバルなコミュニケーション・コンセプトへと羽ばたく姿がある。その可能性に、私の期待は膨らむばかりである。 川尾朋子 Tomoko Kawao 主な活動に 2011年「Virtual・itis/川尾朋子・Judith Umana Ayala」(SATOSHI KOYAMA GALLERY)、2010年「Virtual・itis」(Walden Gallery/ベルリン)、観○光2010 (清水寺・圓通寺)、「俊読」パフォーマンス(出演:谷川俊太郎他)(京都METRO)、2009年 個展「呼応」(ギャラリーH20)、花習塾主催「紬の会」ゲスト出演(京都芸術センター)、2007.8年 傳山国際書法展(中国)山西民族博物館賞連続受賞など。 ※全文提供: SATOSHI KOYAMA GALLERY 会期: 2011年11月19日(土)~2011年12月24日(土) |
最終更新 2011年 11月 19日 |