甲田千晴:土の記憶 刻生 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 7月 07日 |
甲田千晴の作品は、乾いて風化したような土肌に、生長していく想像上の生物を組み合わせたような不思議なオブジェです。ごつごつとした茶色の硬い襞を刻んだ塊から、植物の芽や貝の体を思わせる部分が伸び、枝分かれしてフジツボのような断面を見せたり、古代生物のような表情をつくりだします。 特徴的な木肌のようなテクスチャーは、紐づくりで土を積み重ねることで、歳月や年輪をイメージしています。その膨らんだ造形からは、積層した時間や風化に加え、次の命を育み再生して巡る魂のようなものが感じられます。空洞である内側には土の骨格があると考え、その力が充実して外に現れることを意識したかたちだといいます。 近作「枯鳥が空を飛ぶ日」では、木肌のテクスチャーから外へ出た部分が発展し、石膏に似た白くざらざらした質感で全体が覆われてきました。縦に伸びるかたちが横へも広がることで、新しい世界が生まれています。 甲田千晴は大学のデザイン科でセラミックを学び、工業製品とは別の自由な造形を求めて一人で制作をはじめました。最初はつくりかたもわからず、本来上に積む土を下に向けて積んだり、試行錯誤しながらかたちを追い求めました。その後、信楽陶芸の森や多治見の意匠研究所に進んで釉薬や技術を学び、朝日陶芸展奨励賞、岡山県新進美術育成 I氏賞などを受賞。これまで中国、関西地方中心に積極的に発表を続けています。今展は東京初個展になります。どうぞ会場でご覧ください。 甲田千晴 グループ展・公募展 賞暦 収蔵 全文提供: INAXギャラリー 会期: 2011年7月5日(火)-2011年8月1日(月) |
最終更新 2011年 7月 05日 |