松元久子:陶 Crocodile Body |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 2月 12日 |
松元久子は2010年、近代建築の旧フランス大使館にて開催された、ブランドショップに見立てた展示が、若い女性らしいファッション性と華やかさ、その迫力で注目を集めました。 松元久子の陶の作品は、「鰐」をモチーフとしています。鰐の動物としての強さ、表皮の質感、スタイリッシュな迫力にインスパイアされたことから始まり、次第に身近なファッションとしての鰐皮と結びつきます。ファッションブランドに対する憧れや違和感をテーマに、値段をタイトルにした鰐皮のハンドバッグや、履き口に鰐の頭をつけ、銃弾のように並べられた鮮やかなルージュ色の鱗ブーツ、頭から尾までの鰐が前身ごろの左右についた、鎖かたびらを思わせる緑の鱗で硬く覆われたコートは、陶という素材によって、独特の力強い存在感を放ちました。ブランド品を女性が闘うための戦闘服ととらえ、凶暴で美しい鰐の皮を剥いでまとうことと重ね合わせた作品です。 それから1年、今展の新作では、ブランドと鰐皮という外部にあった鎧が、人間の内面と一体化していくように、なまなましく変化しています。どこから肌でどこから鰐の鱗かわからない薄皮一枚をドレープのようにまとった肉体は、脱皮していく若い作家の今を表しているかのようです。 松元久子は美大で彫刻を専攻し、様々な素材と触れるなかで土の可塑性や焼成の魅力から、やきもので彫刻をつくるようになりました。そこには、伝統的な素材で、自分の生きている今の一瞬を表現する面白さも含まれていると話します。現在も大学院の彫刻科で制作を続け、展覧会ごとに新たな表現へチャレンジしています。 今展では人体のトルソに加え、足や耳などをモチーフにした新作を展示致します。強烈な印象を与える松元久子の新作展をぜひ会場でご覧ください。 松元久子 展覧会 受賞 ※全文提供: INAXガレリアセラミカ 会期: 2011年3月4日(金)-2011年4月2日(土) |
最終更新 2011年 3月 04日 |