高柳むつみ:くうきをうつす 磁器/やまびこのアロー |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 1月 14日 |
高柳むつみの作品は、磁器に古典的な中国風の絵付けや金彩が施された、端正で華やか、凛としたたたずまいのオブジェです。一方で、「からだに飛び込む脳のクラウン」「ひかるひらめき」「転がるアンサー」「ゆうえんちの真実」「ぐるぐるの風景」・・・どれもユーモラスで宇宙的なタイトルが印象的です。オブジェとしての完成度の高さもさることながら、そこに込められたストーリーが作品全体に不思議な求心力を与えています。 プラチナ彩で鈴のついた電球は、マンガでひらめきを表す頭の横に飛び出す記号。うつわを重ねて回転するアンサー。金色の球がお皿に飛び込んで赤いしぶきをあげる「からだに飛び込む脳のクラウン」は、頭ばかりではなく全身で考えたいという思いを表し、ひらめいたアイデアが転がって大きくなり、からだ全部で表現するという思いにつながります。 「ゆうえんちの真実」では地元富山の立山曼荼羅から地獄絵図をモチーフにして、地獄の七層を下るテーマパークを九谷焼の壺を模して組み立てました。フォルムの違ういくつもの壷や皿がタワー状に積み重なり、壷の天辺から蜘蛛の糸に乗って血の池地獄に下り、鬼に蹴られ、象に踏まれ、鳥に攫われ、火に焼かれ、最後は出口へ。阿鼻叫喚、と見せかけて実は楽しんでいる風景が色鮮やかな絵付けで描かれています。 高柳は、大学の工芸基礎で、ろくろをひき、窯とやり取りする面白さから陶芸に進みました。在学中にはフィンランドへ留学し生活から生まれるものづくりを学んでいます。大学院に進んだ後は、改めて日本の陶芸の歴史を学びながら、季節を空間へ取り込むことや、異素材との組み合わせで生まれるやきものの魅力を感じ、つくり続けています。新春に華やかな光を呼び込むような高柳むつみの世界をぜひ会場でご覧ください。 【高柳むつみプロフィール】 展覧会 受賞歴 ※全文提供: INAXガレリアセラミカ 会期: 2011年1月11日(火)-2011年2月1日(火) |
最終更新 2011年 1月 11日 |