一井弘和:空想旅行 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2009年 6月 07日 |
椅子に腰掛け思いを巡らせている人が居る。 一井弘和は2006年東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻を修了し、現在は自身のアトリエにて制作に励んでいる。樟を素材に使用し、小さなドローイングと大きな水彩画を数枚描くところから制作は始まる。イメージを膨らませた後、仏像の制作でも用いられる矧ぎ割りという技法で、体の主要部位や、各所を掘り出し彩色後、バランスを見ながら必要に応じて、さらに掘り込んでいく。 椅子に腰掛け、じっと空を見つめる人物は実在する者として、生命感を感じさせる。それは木という素材のせいか、はたまた題材のためか。思いを馳せる穏やかな表情に思わず引き寄せられ、考えを巡らせてみる。その想像はやがて見る者の内側にある小宇宙へと向かう。 一井弘和/Hirokazu Ichii ※全文提供: 文京アート |
最終更新 2009年 7月 18日 |