Events
|
Written by In the document
|
Published: August 09 2012 |
2012年8月17日(金)から8月29日(水)までの12日間、gallery nearにて、佐藤真美展「あなたを脱色する」を開催いたします。
2011年10月に当ギャラリーで開催された2人展「deeply」では、今年6月に開催された個展「Focus」も記憶に新しい森本成美と共に、油彩における表現方法の奥深さを追求し、2人の相反する表現方法をもって、テーマで ある「deeply」を提示してみせました。
佐藤作品の最大の特徴である、絵具を幾重にも塗り重ねることで生まれる、画面から浮き出る程の凹凸は、油画でありながら、まるで立体作品のような様相を見せ、その凹凸により、画面に描かれた表現は様々な表情を見せはじめます。 その大胆な技法を用い、昨今では大作を描くことも多く、今春まで在籍していた京都造形芸術大学での卒業制作では「300号」という超大作を見事に描き切り、学長賞を受賞するなど、その活躍から今後が大いに期待される作家の1人であります。
表現方法や作品の大きさといった見た目のインパクトが強烈であればあるほど、佐藤が描こうとするものは、より繊細にも感じられます。「脱色するように全容を一度溶かしてみたい」自身の言葉にあるように、一度溶かし、再構築するという、佐藤にとって表現するための一連の作業は、佐藤自身が疑問に感じてきた、現代社会においての固定観念や、枠組みによって型どられた概念を一旦リセットし、あらたな側面から物事の本質を見ようとすることであり、佐藤が超大作に挑むのも、立体作品のように絵具を重ねるのも、油画作品において、ある種一般化された概念を否定し、あらたな概念、表現を生み出そうとする佐藤なりの投げかけのようでもあります。
初個展となる本展では、新作を中心に構成されております。佐藤は今春より拠点を京都から徳島県に移し、瀬戸内海を臨む山あいにて制作を行っており、大自然に囲まれた環境に身を置くことで、その繊細な感性が、より研ぎ澄まされ、生まれ来る作品に大きく影響を与えることでしょう。
本展をぜひ、ご高覧くださいますよう、よろしくお願いいたします。
[作家コメント] 私はよく、モチーフと向き合った時、「脱色するように全容を一度溶かしてみたい」というイメージを持ちながら作品を制作します。私の絵と、私の絵を見た人の身体が混じり合い、その人の全容を溶かすように作用すると嬉しいです。
佐藤真美
私は生まれた瞬間から、「佐藤真美」に型取られてしまいました。私は今も本当は、佐藤真美でも何でもない、ただの肌色の 生きものです。現代を、さまざまな型無くして生きることは到底不可能だと思います。しかし、生きているとそのような 状態がふと、とてつもなくアンバランスで奇妙に感じる瞬間があります。世界は一瞬たりとも固まることなく形を変え続けて いるのに。私がとらえる世界の姿は、煙のようなものです。目で見た姿形や、耳で聞いた言葉だけで読み取れる程度の情報は、 とても頼りなく感じます。私が絵を描くモチーフとする彼らは、本当は計り知れないほど深く複雑で、それらすべてを外からは 知る由もなく、私が頭で理解しきれることはきっと一生無いのだろうと思います。 人間の活動のプラスの繰り返しにより、世界は自分がなまものであることも忘れてしまいかけそうなほど整理され、凝固して いて、度々壁や天井に頭をぶつけている感覚を覚えます。そのループに大きくプラス以外の働きを与えたいと考えています。 それは自然界の活動のようなものなのでは、と感じています。 私はよく、モチーフと向き合った時、「脱色するように全容を一度溶かしてみたい」というイメージを持ちながら作品を制作 します。私の絵と、私の絵を見た人の身体が混じり合い、その人の全容を溶かすように作用すると嬉しいです。
[作家プロフィール] 佐藤 真美 mami sato 1989 山口県出身 2012 京都造形芸術大学美術工芸学科洋画コース卒業 2012 鳴門教育大学大学院教科領域教育芸術系在籍 【 主な展覧会歴 】 2011 春屋さん展 ( 二人展 ) gallery near sei 展 ( 三人展 ) gallery near deeply(二人展) gallery near 【 受賞歴 】 2012 京都造形芸術大学卒業制作展 ( 学長賞受賞 ) 京展 入選
全文提供:cafe dining near ∽ gallery near
会期:2012.8.17~2012.8.29 時間:12:00 - 22:00 休日:8.23(Thu) 会場:cafe dining near ∽ gallery near
|
Last Updated on August 17 2012 |