国立国際美術館では万博記念公園時代から映像作品の収集に取り組み、常設展示会場で上映を行ってきました。近年、中之島に移転してからも実験映画やビデオアートの上映会を開催してきました。主なものに、ジョナス・メカス《リトアニアへの旅の追憶》( 2006 年7 月)、アメリカ実験映画(マヤ・デレン、マイケル・スノウ、ほか/ 2009 年12 月)、「ヴァイタル・シグナル 日米初期ビデオアート上映会」( 2010 年9 月)などがあります。
また、2008 年4 月~ 6 月には「液晶絵画 Still/Motion」展を開催し、絵画と映像とが交錯し合う現代の美術表現に光を当てました。
これまでの実績を継承しつつ、新たに「中之島映像劇場」という名称でさらなる展開を図ろうと考えます。メディアに立脚した、言葉の最も広い意味での「美術と映像」の歴史的な変遷を探り、現代の状況の解明を試み、さらには今後の動向をも予示出来ればと願っています。 現時点では年2回の上映会を計画しています。
【美術と映像:戦前から戦後へ。企画趣旨と特色】 「中之島映像劇場」の第1 回では、東京国立近代美術館フィルムセンターとの共催で同センター所蔵の作品を上映します。趣旨は「美術と映像」の発端を再考することです。具体的には戦前ヨーロッパのいわゆる前衛映画と、戦後日本における「美術と映像」の接点に登場した先駆的な仕事の紹介となっています。普段簡単には見ることの出来ない「古典的名作」を35mm フィルム上映によりお楽しみいただきます。
【上映作品一覧】 上映作品は変更する場合もあります。特記以外は全て東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵です。サイレント作品の上映時間については一部不確定なものがあり、暫定的な数字を入れています。
A プログラム:映画の再発見:戦前ヨーロッパにおける前衛映画(1 時間8 分) *冒頭に20 分程度の解説が付きます。 フェルナン・レジェ(1881 ~ 1955 年)《バレエ・メカニック》 (1924 年/ 16 分/白黒/サイレント)Fernand Léger, Ballet mécanique
ルネ・クレール(1898 ~ 1981 年)《幕間》 (1924 年/ 19 分/白黒/サイレント)René Clair, Entr’acte
アンリ・ショメット(1896 ~ 1941 年)《純粋映画の五分間》 (1926 年/ 5 分/白黒/サイレント) Henri Chomette, Cinq minutes de cinéma pur
ジェルメーヌ・デュラック(1882 ~ 1942 年)《貝殻と僧侶》 (1927 年/ 20 分/白黒/サイレント) Germaine Dulac, La coquille et le clergyman
オスカー・フィッシンガー(1900 ~ 67 年)《習作7(ハンガリアン・ダンス五番)》 (1931 年/ 3 分/白黒/サウンド) Oskar Fischinger, Studie Nr. 7 (Ungarischer Tanz Nr. 5 von Brahms)
オスカー・フィッシンガー《習作8(魔術師の弟子[デュカス])》 (1931 年/ 5 分/白黒/サウンド) Oskar Fischinger, Studie Nr. 8 (L’apprenti sorcier von P. Ducas)
B プログラム:. 美術と映像:戦後日本における胎動(1 時間40 分) 勅使河原宏(1927 ~ 2001 年)《北齋》 (1953 年/ 23 分/白黒/サウンド) Teshigahara Hiroshi, Hokusai
勅使河原宏《動く彫刻 ジャン・ティンゲリー》 (1963 年撮影/ 1981 年再編集/ 14 分/白黒/サウンド) Teshigahara Hiroshi, Sculpture Mouvante - Jean Tinguely
羽仁進(1928 年~)《絵を描く子どもたち ―兒童画を理解するために―》 (1956 年/ 38 分/白黒・パートカラー/サウンド) Hani Susumu, Children Who Draw Picture
松本俊夫(1932 年~)《銀輪》 [デジタル復元/三色分解アナログ合成版](1956 年/ 12 分/カラー/サウンド) Matsumoto Toshio, Bicycle in Dream
松本俊夫《白い長い線の記録》 (1960 年/ 13 分/カラー/サウンド/フィルム提供:川崎市市民ミュージアム) Matsumoto Toshio, A Record of Long White Lines
※全文提供: 国立国際美術館
会場: 国立国際美術館 地下1階講堂 会期: 2011 年3月26日(土)13時からAプログラム、15時からBプログラム 3月27日(日)13時からBプログラム、15時からAプログラム ※Aプログラムは冒頭に解説約20分あり 入場無料/全席自由/先着130名(午前10時から整理券を配布します)
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